ハリルホジッチ「全員が満足する試合を」 カンボジア戦、アフガン戦メンバー発表

スポーツナビ

PKをもらう文化がない

――ハリルホジッチ監督に質問したい。監督はアジア勢を相手にした公式戦でまだ勝ち星に恵まれていない。今回の合宿で選手たちに一番植え付けていきたいことは何か?

ハリルホジッチ シンガポール戦、それから東アジアカップの試験を経ていろいろ考えた。確かにまだ勝っていない。私の人生で4試合勝ちがないというのは初めてだ。もちろん何も隠す必要はないのだが、勝つのが大好きで、勝っていないのは本当に満足していない。ただ、そうは言っても悲しんでもいない。シンガポール戦のときも言ったが、彼らが見せたクオリティーはかなり良いものだったし、決定的チャンスをたくさん作った。これは事実だ。そして、選手も得点を取りたいと思っていたし、守備もしっかり丁寧にやってくれた。おそらく私の人生で初めて見た光景だ。

 ただ、カンボジア戦で同じ繰り返しはしたくない。もちろんカンボジアも、それから他のチームも順に見ているが、今回のトレーニングでは戦術面の話しかしないと思う。いろいろなことを修正して臨みたいと思う。すでにディテールを用意している。2回のトレーニングで全部できるかまだ分からないが、すべてを出さなければならないと思う。やはり2回目の言い訳をしないようにしなければいけない。われわれは勝たないといけない。得点を取らなければいけない。そして、われわれ全員が満足するような試合をしないといけないと思っている。東アジアカップに関しては、満足していないとは言っても、もし1試合でも勝っていたらおそらく1位で終わっていたと思う。そして2、3日の休息があれば1試合目には勝っていたと思う。韓国と中国はわれわれよりも強くない相手だった。われわれのクオリティーはかなり上がったと思う。

 あとはゴール前のクオりティーだ。今、岡崎だけが少しレベルの高い選手だと思う。A代表でこれほどできる選手はまだ見つかっていない。つまり、それを含めてこれから何をしなければいけないか。特に真ん中のFWだ。例えば北朝鮮が出してきた大きな選手が2回、われわれに大きなものを残した。昨日のG大阪の試合でも誰が一番危険なことをしたかというと、やはり大きなブラジルの選手だった。われわれもそういった選手を見つけないといけない。デフェンス面でもそうだ。この前、AFCの会議でマレーシアに行ったのだが、アジアの各国が日本に対して何を考えているかというと、FKで大きな選手を前に置いておくとかなり日本は弱いということ。つまり、彼らに対抗するためにわれわれも大きな力強い選手を見つけないといけないということだ。この試合にも期待はしている。選手はモチベーションも高く、この試合に勝ちたいと思っているし、そして次のアウェーに向けても勝利をつなげていってほしいと思う。そうすれば少しゆっくり寝られるかなと思う。

――カンボジアとアフガニスタンの分析はどのようにしているか。勝利はもちろんだが、内容も重視しなければいけないと思う。

ハリルホジッチ かなりのものを今、準備している。カンボジアがどのようにプレーしてくるかもすでに知っている。何試合か見た。かなり引いてくる、そしてカウンターでわれわれに何か問題を起こしてくるだろう。5人ディフェンスを置いている。トレーニングの準備を5人のディフェンスを使ってやる準備をしている。この低いブロックをどのように不安定にするか。例えば中盤。今のところミドルシュートが少ないのだが、これを頻繁に使おうと。こういったオフェンス面のいろいろなソリューションを用意している。

 それから選手に学んでほしいことがある。日本に5カ月いて7試合を戦っているが、A代表でPKをまだ1回ももらっていない。例えば90%支配したシンガポール戦でも、1回も相手がエリア内でファウルをしていない。これはやはりノーマルではないかなと。やはりそのような文化がまだないのかもしれない。(エリア内の)16メートルの中でファウルをもらえば、ペナルティーだよということを学んでほしいと思う。AFCの会議に行ったときに、ビデオを見たのだが、オーストラリアとUAEのアジアカップ準決勝の試合が流れた。オーストラリアが何をしたかというと、5回連続でペナルティーを誘発するようなプレーをした。それしかやらなかった。そして5回目で審判が笛を吹いてペナルティーがもらえた。それで勝った。ただずる賢くやり続けろというわけではない。これはフットボールの中でインテリジェンスと呼ばれる部分で、特にこのような試合で必要になってくる。

私を困らせる質問をしてくれて結構

霜田委員長は9月の2試合もベンチに入ることを明言した 【スポーツナビ】

――また1点を取るのが難しい試合になる可能性もある。就任当初より選手の特性などかなり把握されてきたと思うが、試合終盤の効果的な選手の交代や起用法、そういったことのイメージはかなり膨らんでいるのか?

ハリルホジッチ まず、交代するかどうかは選手にしっかりプレーしてもらわなければいけない。最初に出す選手というのはやはり得点をより取れる選手であるし、それをしっかり学んでほしい。2、3カ月前よりもかなり私の日本の知識は増えたと思う。そして、若い世代の試合も見ている。ゴールを取れる選手を見つけることは、簡単な仕事ではない。

 交代に関しても、より良い交代をできるかどうかもまだ分からない。例えば岡崎を交代させたとしよう。岡崎の代わりに誰を投入するか? そういったことも踏まえて簡単な仕事ではない。ただチームのプレーは全然不満ではない。なぜかというと、チャンスをかなり作っているからだ。質と量に関してかなり良いものがあったと思っている。ただ、最後の冷静さ、最後のシュートのところは、シンガポール戦をこの前また見たのだが、あのときよりもさらにイライラしてしまった。タクティクス(戦術)もいろいろと準備しなければいけないし、それに合う選手も用意しなければいけない。

 私を困らせるような質問をしても構わない。全然試合にも勝っていないし、批判も出てくると思う。ヴァイッドを困らせる質問をしてくれて結構だ。例えば霜田さんが私の横にいて批判されたという話も聞いた。ただ、それは私が要求した。おそらく技術委員長が代表監督の横にいる習慣はないかもしれないが、私の中にはそういったものがある。霜田さんを横に置きたかったのは、選手のことも知っているし、環境のことも知っている。そしてグラウンド上での役割も完璧にこなしているからだ。ただ霜田さんからタクティクスのことに関して私に相談はない。日本では何か違うことをやるとそれは違うんじゃないかということになる。でもそれが霜田さんが私の横にいた理由です。1年目はそういった形で横にいてもらう。そういうことに関しても私に質問してほしい。私には理由があるから。それから質問していないこともまだまだあると思うが、質問してくれれば役割なんかもこうやって説明できると思う。

――それでは質問したいと思う。霜田委員長にお聞きしたいのだが、この2試合ももちろんベンチに入るということでよろしいのか?

霜田 そうです。入ります。

――ベンチに入った場合、これまで4試合、結果だけを言えばハリルホジッチ監督は勝てなかった。その評価というのはきちんとできているのか?

霜田 隣に座っていようが、上から見ていようがきちっと評価はできています。

5/5ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント