高校野球の意外な!?都道府県別データ ベースボールグラフィックレポート
今年は、1915年、前身にあたる「全国中等学校優勝野球大会」が初開催されてから100周年を迎える節目の大会。地方大会では、連覇を目指す大阪桐蔭高(大阪)、今春センバツ4強の浦和学院高(埼玉)などが決勝にもたどり着けずに敗退するなど、多くの波乱があった。一方で、西東京では早稲田実業高のスーパー1年生、清宮幸太郎が大活躍して話題をさらった。
選考委員会によって選抜され全国32校で争う春のセンバツと違い、夏の甲子園は、各都道府県で行われる地方大会優勝校が頂点を競う、都道府県対抗色が強い大会だ。しかし、各都道府県から1校ずつ(北海道、東京は2校)が出場するという仕組みゆえ、都道府県間の格差なども存在する。そんな中でズバリ、甲子園で強い県、弱い県はどこなのか? 参加校数が多い(少ない)県、公立校の出場が多い(少ない)県は? 05年から14年までの直近10年の大会データを元に、昨今の都道府県別の高校野球事情を検証する。
圧倒的強さを誇る大阪
【データおよび画像提供:データスタジアム】
過去10年間の戦績は27勝8敗(勝率7割7分1厘)で、全都道府県で唯一の勝率7割超え。1試合あたりの本塁打数が全都道府県で唯一1本を超える(1.11本、35試合で39本塁打)。1試合平均6.5得点もトップだ。この高校生離れした強打をけん引しているのは、10年間で6度出場、3度の全国優勝を誇る大阪桐蔭高。中村剛也、浅村栄斗、森友哉(いずれも埼玉西武)、中田翔(北海道日本ハム)、平田良介(中日)ら、今日のプロ野球を代表する強打者を次々輩出している。ちなみに今年は、準々決勝で大阪桐蔭高を破った大阪偕星高が初出場する。
大阪に次いで勝率2位の沖縄も、愛知、大阪に次ぐ打率(3割1分1厘)の強打が売りだ。10年に沖縄県勢として夏の甲子園初優勝を果たした興南高が今年、5年ぶりに出場する。3位の青森は11、12年と光星学院高(現・八戸学院光星高)が2年連続で決勝進出。好投手を擁すことが多く、1試合平均3.3失点は全国で最少となっている。
大阪、沖縄、青森に続くのは、4位の東京と5位の神奈川。東京は06年の早稲田実業高、11年の日大三高と西東京から優勝校を2校輩出した。神奈川は12年の桐光学園高・松井裕樹(現・東北楽天)らプロ注目の好投手を擁することが多く、奪三振率は全国トップ。しかし防御率3.69は全国26位と、必ずしも投手力が高いとは言えないようだ。
これら“強豪県”の顔ぶれは、高校野球ファンならば納得の結果と言えるだろう。では逆に、夏の甲子園で負け続けている“弱小県”はどこなのか?
【データおよび画像提供:データスタジアム】
意外なのは、10年間で4勝11敗の埼玉。13年センバツ優勝の浦和学院高が10年間で5度出場しているものの、そのうち4度が初戦敗退とふるわなかった。奪三振率4.41は全国で最下位だ。
甲子園出場の倍率格差は最大7倍以上!
【データおよび画像提供:データスタジアム】
参加校数が最も少ないのは、勝率ワーストの鳥取。参加校数25校は、実に愛知の7分の1以下である。福井、高知は参加校数31校ながら、甲子園での勝率は5割以上と健闘している。福井は過去10年で7度出場の福井商高が6勝7敗ながら、昨年は敦賀気比高が4勝を挙げて準決勝進出。高知は今年、6年連続17度目の出場を決めた明徳義塾高が8勝5敗の好成績を残している。
ちなみに、参加校数が200を超える東京と北海道からは2校ずつが出場するが、それでも甲子園出場倍率はいずれも全国トップ10入り。枠が2つあるとはいえ、全国的に見たら決して楽ではないことが分かる。