涙を流した旭天鵬、泣かなかった若の里 去りゆく同期の2人が貫いた相撲哲学
競い合って後進の指導を
7月場所千秋楽で天凱鵬に敗れ花道を去る若の里。会場のファンから惜しみない拍手が送られた 【写真は共同】
人目もはばかららず泣き顔になった旭天鵬と、人前では決して涙を流さなかった若の里。何から何まで正反対の両ベテランだが、それぞれの相撲哲学を最後まで立派に貫いた。
千秋楽翌日の引退会見で旭天鵬は晴れやかな表情で「今はゆっくりしたいけど、そのうちまわしが恋しくなると思う。後輩に胸を出して一緒に汗を流したい」と語った。親方になっても自らがムードメーカーとなり、現役力士を引っ張っていく姿の想像がつく。
一方、“おしん横綱”と言われた元横綱・隆の里の弟子だった若の里は、いるだけで稽古場にピンと張り詰めた緊張感を醸し出す、そんな親方になっていることだろう。
現役中はともに励まし合い頑張ってきた2人の“レジェンド”は、ともに将来は部屋を持ちたいという夢を持っている。不思議な縁が取り持つ両者は、後進の指導でも競い合っていることだろう。