夏場の新馬戦は競馬の面白さの“宝庫” 日程変更によるローカル開催の着目点
時期変更による楽しみ方の変化
7月の中京でデビューしたハープスターはその後、新潟2歳Sへ駒を進めた 【スポーツナビ】
これによって、夏のローカル開催の新馬戦の楽しみ方も、少しずつ変わる可能性がありますが、また別の興味も目立った形で現れてきました。各場で開催終盤に設けられている2歳Sの充実です。
ダービー直後の開催で勝ち上がった馬が、ひと息入れて2歳Sに向かう時、そのデビュー地は様々。となると開催場の新馬を勝った組との比較は、ほとんど見る側の想像力に委ねられることになります。
一昨年の新潟2歳Sで、前述した中京デビューのハープスターが、ダービーの翌週に東京の新馬戦を勝ったイスラボニータを破ったのは好例。ここの1、2着馬それぞれが、翌春のクラシックを勝つなんてことは滅多にないでしょうけど、起こりうる、という可能性を示したことは事実。凄いことです。
基本に立ち返って
これがベストかどうかはさておき、ひとつの方法論として、以下のことをお勧めしておきます。
まず、絵画で使うキャンバスを想像していただいて、その左上に馬名を書きます。隣に父と母、母父などを続けて、厩舎や毛色といった、いわゆるプロフィールを書きましょうか。セレクトセールの購買価格を書けるようなら、忘れないようにして。
デビュー前に、それだけで何かをイメージしてもいいですし、足りなければ新聞その他で厩舎の談話や調教時計などを書き込んでから、徐々に膨らませてもいいでしょう。
それからパドックを見て、返し馬を見て、レースを見て。そしてそのレースの印象を記しておく。
パドックからレースにかけては、現地で体験できれば理想的ですが、それが無理な場合でも、情報としてならある程度は押さえることができるはず。
ともかく、この積み重ねでキャンバスを埋めていく。勿論、本当にキャンバスとかノートを使用する必要はなくて、頭の中だけで処理して構いません。何しろその作業を続けることで、その馬の個性を=自分だけの=を形作っていくわけです。
競走成績トータルとして、自分が抱いたイメージが正しいのか間違っているのか。それこそ個体差があるでしょう。ですが、そんな紆余曲折を経ることで、より深く競馬を理解することにつながるかもしれません。
そして、ここで気づかされるのは、上に書いてきたことは新馬戦に限らず、競馬そのものの楽しみ方のひとつではないか、ということ。少なくとも、新馬戦をどう楽しむかを考えることは、競馬の面白さを知るうえで重要な意味を持っていそうです。
夏場の新馬戦は、その意味でも“宝庫”なのかもしれません。自分の想像力がどんなものか試されるのですから、緊張もしますが、それだけ面白い。
セレクトセールが開催されて、新しい個性が次々に現れる夏競馬。これを“春と秋の間の休息期間”にしておくのは、ちょっともったいなくないですか?
たとえ現地でなくて、クーラーの効いた部屋ででも、夏の新馬に向き合うことはできます。今からでも遅くはないと思いますよ。