選手を尊重するミキハウスのスポーツ支援 好循環を生む企業と選手の幸せな関係
効果を実感するとき
所属選手たちは、社内行事に積極的に参加することでサポートのお礼を還元している 【スポーツナビ】
「すべての選手に期待していますし、自分でチャンスをつかんだ選手たちですから、自分の力を出し切れるような大会にしてくれればというのが一番の思いです。その中で結果を残してくれれば応援する側としてはうれしいことですけれど、結果以上に、そこに向けて『十分やりましたよ』と言って帰って来てくれることが一番かな」
世界と戦い、メダルを獲得する選手が社内にいることで、他の社員のモチベーションにつながっていると感じると澤井氏は言う。選手を応援するために、社員が集まってパブリックビューイングをすると社内に一体感が出るし、取引先の企業からは応援のメッセージなどが届く。
所属選手たちも競技優先ながら社内行事には積極的に参加し、会社や関連企業にサポートのお礼を還元しているという。激励会では、選手たちとうれしそうに記念写真を撮る社員の姿が数多く見られた。計らずとも、効果を実感する場面は数多くあるのだ。
サポートに感謝し、奮起する選手たち
水泳の世界選手権に出場するミキハウス所属の6選手(左から立石、小関、清水、松本、寺内、坂井) 【スポーツナビ】
「水泳だけに集中できる、素晴らしい環境の中で練習ができますし、サポートとご声援をいただいている。こんな環境は他にないと思います。ミキハウスを背負ってレースや遠征に行っているので、成長できていると感じます」
不況でスポーツから撤退する企業も多い中、ミキハウスは約27年サポートを続けてきた。経営状況が厳しいときもあったが、スポーツを愛する木村社長は支援を辞めようと思ったことはないという。企業は選手に理想の環境を提供しようと努力する。選手はそれに奮起し、自覚を持つことでさらなる成長につながっていく。プロスポーツとはまた違う、企業と選手の幸せな関係がそこにはあった。
(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)