フェデラーとジョコビッチが頂上決戦へ 好調同士の決勝は熱戦必至

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通算10度目の決勝進出を決めたフェデラー 【写真:ロイター/アフロ】

 テニスのウィンブルドンは10日、男子シングルス準決勝2試合が行われ、昨年の優勝者で第1シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)がリシャール・ガスケ(フランス)を、第2シードのロジャー・フェデラー(スイス)が地元期待の第3シード、アンディ・マレー(イギリス)をともにストレートで下して決勝進出を決めた。2人の対戦成績はこれまでフェデラーの20勝19敗、ウィンブルドンの対戦は昨年に続き3度目で、これまで1勝1敗。フェデラーの決勝進出は通算10度目となった。

マレーとフェデラー、共に譲れない対戦

マレーは敗れたものの、フェデラー相手にほぼ互角の戦いを見せた 【写真:ロイター/アフロ】

 フェデラーの果敢な攻めと華麗なプレー、地元マレーの鉄壁の守りと執拗(じつよう)な逆襲にセンターコートが沸いた。対戦成績ではフェデラーが12勝11敗でわずかにリード。マレーにとって文字通りの“ホーム”なら、フェデラーにとっては7度優勝の“わが城”と、互いに譲れない。ファンはここで行われた2012年の2度の決勝を忘れないだろう。ウィンブルドンではフェデラーが勝ち、直後のロンドン五輪でマレーが金メダルをもぎ取った。

 既に第1試合でジョコビッチが勝ち、決勝の対戦相手は決まっていた。世界ランキング1位との頂上対決を目指し、ともに燃えるものがあった。手の内は知り尽くした両者。フェデラーのサーブにはキレがあり、コースともに抜群だったが、マレーはそれを左右にさばいて反撃に出る。第1セットの第1ゲーム、マレーがいきなりブレークチャンスをつかんだが、そこをフェデラーがサービスエースで乗り切ってからは、互いに隙を与えない。ライン際の攻防、再三のチャレンジで拍手が起きる中、迎えた第12ゲーム、フェデラーがギアを上げた。15−30から狙いすましたフォアハンドのリターンをクロスに決めると、2本目のセットポイントでバックハンドのムチを飛ばし、鮮やかなパッシングショットを貫通させて先手を奪った。

互角の戦いを打ち破ったもの

 今シーズンのマレーは飛躍のシーズンを送っている。春には結婚し、これまで1度もなかったクレーコートの優勝を2度も手にして自信を深めてきた。メンタル面での成長を見せたのが、ゲームカウント5−4で迎えた第2セットの第10ゲーム、0−40でフェデラーに3本のブレークポイントを握られた時だ。思い切りのいいサービスエースでそれをかわしたものの、デュースに入ってからもフェデラーは攻めた。緊張感のある打ち合いに前後への大きな揺さぶりが交錯し、観客の先走った悲鳴が何度も響く。7度のデュースを繰り返し、マレーは合計5本のブレークポイントをセーブしてサービスキープした。

 一方のフェデラーも、この日は躍動感にあふれていた。8月に34歳になるというのに、流れるような動きから、左右幅広くにショットを散らし、ススッとネットにつく。マレーは背中を向けてボールを追うが、そこからフェデラーがパス、ロブ、ドロップショットで揺さぶる。

 多彩なプレーではほぼ互角の戦いだったが、フェデラーの攻撃性がわずかに押し切ったと言えるだろう。ストレート勝負ではあったが、各セット1度だけのサービスブレークの緊迫した展開に、センターコートは盛り上がった。

経験値で上回ったジョコビッチ

目まぐるしい打ち合いを制したジョコビッチ 【写真:ロイター/アフロ】

 第1試合のジョコビッチ対ガスケも見応えある攻防だった。特に第1セットは、ガスケが持ち味の片手打ちのバックハンドから小気味いいウィナーを連発させた。第2ゲームをブレークされたが、第3ゲームをすぐブレークバックして、目まぐるしい打ち合いが続いた。

 ジョコビッチは既にグランドスラムで8度の優勝。ガスケはラファエル・ナダル(スペイン)と同期で期待された選手だったにもかかわらず、これまで07年のウィンブルドンと13年の全米オープンで1度ずつベスト4に上がっただけ。そうした経験の差が出たのだろう、タイブレークに入って緊張感が崩れたところをジョコビッチにつかれた。

 今年のジョコビッチは全仏オープンこそ準優勝に終わったが、全豪オープンと出場したマスターズ1000の4大会すべてで優勝している。3強あるいは4強時代から独裁時代への足掛かりをつくりつつあるが、この日の軽快な動きを見る限り、フェデラーも侮れない。その1つの理由は、全仏オープンからウィンブルドンまでの間隔が2週間から3週間に延びたことがあるだろう。得意の芝に向けて、じっくりと準備して臨んできた。

 日曜日は世界中のテニスファンが熱戦に悲鳴を上げることだろう。

(文:武田薫)

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