高阪剛が語る「UFC189」2大王座戦 王者アルド欠場で「逆に面白味が増した」
“GSPの後継者”マクドナルドがローラーと再戦
ウェルター級王座に挑戦する“GSPの後継者”ローリー・マクドナルド 【(C)Photo Courtesy of UFC】
これは再戦ですよね。自分もあの試合をあらためて見直してみたんですけど、あのときも含めて、マクドナルドは基本的にスロースターターですよね。ジャブや蹴りを出していって、それがうまくクリーンヒットしたら、そこから畳み掛けるという闘い方で。ただ、うまく効かせる打撃が当てられないと、イマイチ前に出られない展開が続いてしまうこともあって。
――その実力は誰もが認めるところなんですけど、煮え切らない闘いに見えてしまうんですよね。
それが前回のローラー戦でいうと、マクドナルドがやや主導権を握っているようでいて、なかなかクリーンヒットが当てられないでいる中、最終的にローラーが「行ってまえ!」って感じで、3ラウンドに殴り合いに持ち込んで、そのまま最終ラウンドを取られて、競り負けてしまったという。
――マクドナルドにとっては、勝てる試合を落とした感じで。また、ここぞというところで、相手を圧倒する力を出せなかったことで、評価を落としてしまいましたよね。
だから、マクドナルドは長いリーチを利した打撃もいいし、タックルのタイミングもすごくうまいので、「あの若さであれができるのはすげえな」って、みんなが思っていたと思うんですよ。でも、若くしてあれだけのことができるがゆえに、若さがないというか、勢いがない闘いをしてしまうことがちょっと多いんですよね。
――早熟の天才であるがゆえに、なぜか老獪さばかりが目立つという。
それが、ローラーに判定で敗れてからは、打撃に関して強打を打つようになってきているんですよね。だから、強打でしっかり効かせて試合を優位に運ぶということに取り組んできたのかな、という気がしますね。
――逆にローラーは劣勢になっても、気合いとケンカ魂で押し返していきますよね。
またスタミナもありますからね。5ラウンドをフルに暴れても、最終的に押し切ってしまえるだけのフィジカルと気持ちの強さがあるんですよ。「どついたるねん!」って感じで。コツコツ、もらっていても気にしませんからね。だから観ている人も、自分ら世代とかは、気持ちいいですよね。
――いつの間にか、相手を“ケンカファイト”に巻き込んでいるという。
もちろん、それは技術があってこそなんですけどね。ボクシング技術も高いし。構えがサウスポーで、ちゃんと前手のフックを当てて、左のストレートを撃ち抜くというのが、ケンカ四つの相手にもできるという。そういうことがしっかりできるからこそのケンカファイトなんだと思いますよ。
――まさに長年培った“自分の闘い方”ですよね。
そんな感じがしますよね。取って付けたような技術とか、試合の作り方ではないですよね。だから、ローラーの闘いには、共感を覚える人がいっぱいいるんじゃないですかね。基本、総合っていうのは、暴れていい格闘技なんですよ。これやったら反則だよという制約が極めて少ないので、暴れたい人は暴れたほうがいいんですよ。ただ、それやると普通はスタミナが切れたり、カウンターをもらいやすかったりするから、闘い方が固まってきちゃうんですけど。ローラーは、そこからさらに一周して、いまの闘い方になったんだと思うし、それでチャンピオンにまでなっているので、彼にとっては、これが正解なんですよね。
若き天才マクドナルドにとっての正念場となる
王者ロビー・ローラーは“ケンカファイト”で再びマクドナルドを退けるか 【(C)Photo Courtesy of UFC】
やはり、マクドナルドがどこまで変わったか、ですよね。おそらくマクドナルドは、前回と同じ轍は踏みたくないと思うので、パンチをちょんちょん当ててポイントを稼ぐという方法はローラーに対しては有効じゃないなと感じたと思うんですよ。だから、やるんだったらテイクダウンでしっかり上を取って、明らかに攻撃を仕掛けるか。磨いてきた打撃の強打で、相手の圧力を効かせて止めることができるかということでしょうね。
――マクドナルドも、ここで一皮剥けないと、“GSPの後継者”という感じではなくなりますもんね。
ここを取っておかないと、再びタイトルに挑戦するためには、また後ろに並ばなければいけないし、ウェルター級も層が厚いですからね。まだ若いマクドナルドですけど、ここは正念場だと思います。
(取材・文:堀江ガンツ/WOWOW UFC解説者)
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