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ドローを先まで見ない錦織
全仏OPテニス・シーンの裏側

全体像を把握? 次の相手に集中?

全仏オープンのドローが22日に行われ、錦織の初戦の相手はポール=アンリ・マチューに決まった
全仏オープンのドローが22日に行われ、錦織の初戦の相手はポール=アンリ・マチューに決まった【写真は共同】

 選手には、ドロー(組み合わせ抽選)が決まった時にじっくり全体像を見る人と、そうでないタイプがいるという。

 錦織圭(日清食品)は、後者のタイプだ。だから彼は、22日の会見で全仏オープンのドローについて聞かれても「見ていない。次の対戦相手のことしか分からない」と言う。


 ツアー経験や立場の変遷に伴い、前者から後者へ、あるいは後者から前者へと変わっていく選手もいる。例えば、第3シードのアンディ・マレー(英国)は今大会のドローを隅から隅まで把握していたが、以前は見ない方だったという。だが……とシニカルな笑みを浮かべて、彼は言った。


「会見でドローについて聞かれた時、『見ていない』と答えると結局、君たちが全部教えてくれる。だから、見ても見なくても同じだと気づいたんだよ」


 ちなみに日本のメディアは、錦織にドローの全体像を教えることはなかった。だから彼は、今でも次の対戦相手しか知らないのかもしれない。

錦織の初戦の相手は地元フランスのマチュー

 その初戦の相手は、フランス人のポール=アンリ・マチュー。2008年には世界ランキング12位にまで達したが、その後は膝の負傷に苦しみ、現在は123位。ただ、手術と1年半近くのブランクを乗り越え、コートに戻った彼の足跡は、フランス人の敬意を集めてもいる。パリでも人気を獲得しつつある錦織だが、初戦ばかりはアウェーの戦いを強いられるのは必至だ。


 ちなみに、両者の過去の対戦成績は1勝1敗。だが錦織が敗れたのは、肘の痛みにあえいでいた09年ブリスベン国際での対戦。逆に勝ったのは、マチューがケガから復帰した直後の12年モンテカルロ・オープン。いずれの戦績も参考にはならないだろう。


 偶然にも22日の練習で、錦織はそのマチューと打ち合った。だから「どんなプレーをするかは分かっている」とした上で、「危険な選手だ」と定義する。


「ファーストサーブをしっかり打ってくるし、ストロークも両サイドからフラットで力強くたたいてくる。どちらかというと、荒く攻撃的な選手。少し油断すると流れをもっていかれる可能性はあるので、明日と明後日で作戦は考えていく」

今は初戦のみに目を向けよう

 なお、開幕初日に試合が入ることについては「(初戦が)早い方が休みも作れるので、自分的には良かった」と言う。上位進出に向け、スケジュールにも良い感触を得ているようだ。


 もちろん、上位進出のためには“BIG4”と呼ばれる面々(ロジャー・フェデラー=スイス=、ラファエル・ナダル=スペイン=、ノバック・ジョコビッチ=セルビア=、マレー)を倒さなくてはならないことは、百も承知。“BIG4”と自身の差を、世界5位の錦織は「集中力の差などいろいろあるが、近づいてはきている」と見ている。


 今大会で、錦織と対戦の可能性の高い“BIG4”はどの選手で、どのラウンドで当たることになるのか――。

 見ている側は、ドローを目で追い、ついそんな予想をしたくなる。だが、世界2位のフェデラーは言う。


「予想が楽しいことは分かるが、特定の選手の先々の対戦について語ることは、他の選手への礼を失することでもある」


 先々の対戦については、その時々で語ればいい。今はすべての選手に敬意を表し、初戦のみに目を向けよう。

内田暁

テニス雑誌『スマッシュ』などのメディアに執筆するフリーライター。2006年頃からグランドスラム等の主要大会の取材を始め、08年デルレイビーチ国際選手権での錦織圭ツアー初優勝にも立ち合う。近著に、錦織圭の幼少期からの足跡を綴ったノンフィクション『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)や、アスリートの肉体及び精神の動きを神経科学(脳科学)の知見から解説する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。京都在住。

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