秋田ノーザンハピネッツは県民とともに 1年前の「忘れ物」を取りに有明へ

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あと一歩で届かなかったチャンピオンの座

昨年のファイナルで琉球ゴールデンキングスに敗れ涙を流した秋田ノーザンハピネッツの田口 【写真提供/bjリーグ】

 試合終了のブザーがなると、秋田ノーザンハピネッツの田口成浩はあふれる涙を止められず、顔を上げることができなかった。

 1年前の2014年5月25日。プロバスケットボール「bjリーグ」のチャンピオンを決めるファイナルが行われていた。対戦カードは、初めてイースタン・カンファレンスを制した秋田ノーザンハピネッツと、ウェスタンの覇者、過去に2度の優勝を誇る琉球ゴールデンキングス。

 東西の人気チームの対戦とあって、会場の有明コロシアムはチケットがソールドアウト、1万人を超える観客の熱気が凄まじかった。試合は、現在NBA挑戦中の富樫勇樹を擁する秋田を試合巧者の沖縄が上回り、103−89のスコアで3度目のタイトルを獲得した。

初めて気づいた王者との差

昨シーズン、秋田のブースターは有明コロシアムをピンクに染め上げ、熱い声援を送り続けた 【写真提供/bjリーグ】

 試合から数日後、秋田の選手、スタッフが食事をしていた際、スタッフの一人が、「14点の差は選手の責任でなく、スタッフたちの差」と泣いた。経験豊富な沖縄はファイナルに際して万全の準備をしていた。

 チームスタッフは沖縄ベンチは6名、フロントスタッフの一部は宿泊も選手と同じホテルで、有明コロシアムに最も近いところに取った。さらにスカウティングや打ち合わせなどを頻繁に行える環境を整え、チームを支える万全の体制を取っていた。

 それに対し、初の有明となる秋田のベンチスタッフは3名。フロントスタッフは車で上京し、チームとはホテルも全く別。コミュニケーションも取れず、チームを支える体制を整えることが十分できなかった。

 その食事会が終わると、秋田はすぐに来年のホテルの予約を行った。絶対に戻ってくる、その意志の現れだった。

 そして、迎えた2014−15シーズン、秋田は順調に勝利を重ね、イースタン・カンファレンス1位でプレーオフへの切符を手にした。忘れ物がある「有明」まであと2つ。

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