川淵新会長「これこそが新JBAの誕生」 第5回タスクフォース会議 報告記者会見

スポーツナビ

制裁解除は「まったく心配していない」

第5回タスクフォース会議の様子。次回の会合では新リーグでの各チームの階層分けが決められる 【スポーツナビ】

(以下、記者からの質疑応答)

――山登りに例えると8合目と言ったが、残りの課題はどの部分か? 6月の(FIBA)セントラルボードの場で、代表強化についてはどのようなプレゼンテーションをするのか?

川淵 47クラブが申込みをしてくれたわけですけれど、中身を精査すると、まだいろいろな問題があります。ヒアリングによってそれが解消できるのかどうかというところもあり、最後の段階での階層分けは相当に苦労するだろうなということですね。

 代表強化に関しては、今の代表チームの拘束期間について……。昔のサッカーの代表を思い出しますと、1980年前後に僕が監督だったとき、代表に選んだら選手の方から断ってきたという時代がサッカーにもあったわけです。同じような状況が、バスケットボール界にもあるらしい。そういうことにならないよう、ナショナルチームというモノが、選手にとっても一番なりたい地位であるように、協会を挙げて努力をするつもりです。サッカーでも、どの競技団体でも同じだと思いますけれど、代表の強化ということに関して、必ずそこに参加しなければならない、参加を断った場合には懲罰をするということまできっちり決めて、代表強化に対して全力を挙げて協会やクラブがバックアップするという体制に持っていきたいと思います。(セントラルボードでは)そういう話をするつもりでいます。

――新体制が発足をしてガバナンスの強化とリーグ統一、代表強化の3つとも道筋がついたと思うが、これをもって制裁は6月で解除の見通しと言えるのか?

川淵 NHKでも言ったじゃないですか(笑)。 あのときも任せなさいと僕は言おうと思ったんだけれど、大丈夫です。バイスさんと詳細を詰めて、どこが問題だと言われたときに、日本の立場からすればFIBAの言うとおりにはならないという議論も重ねて、方向性を合わせながら解決していっている。そういうことから言うと、僕としてはまったく心配していません。

――制裁解除となれば五輪予選にも出場できるが、6月の東アジアの予選は、まだ開催地も時期も決まっていない。それも出場できるということか?

川淵 これはちょっとよく分かりませんけれど、FIBAも早めに組み合わせを決めて、日本を排除するということがないようにやっていたのではないかなと。これは憶測ですけれどね。解除になったら即刻そこに出場するということが可能だと思うし、そうしたいと思います。

一番難しいのはリーグ分け後の戦力差

――旧体制の理事が、そのまま各種の委員長として残っている。このまま1年間は担当してもらうのか、ある程度の時期に入れ変えるのかなどの方針は?

大河 専門委員会のところは、理事を外れても、専門委員は専門委員だと思います。その仕事を停滞させるわけにはいかないので、当面は続けていただくことになると思います。一方で専門委員会もいっぱいありますので、それが本当に必要なのか、逆にもっと強化する必要があるんじゃないかとか、その辺のところは私が今日選任されたわけですから、これから早急にいろいろなところと会談しながら見極めていきたいと思っています。要るモノは要る、要らないモノは要らない。そういったことをなるべく早く理事会に提案しながら、議論していきたいと考えています。

――制裁解除された後の課題として、ガバナンスをさらに整備していかなければいけないと思うけれど、具体的にやるべきことは?

川淵 これから一番難しいのは、1部2部というふうにクラブが分けられた時に、戦力に相当なギャップが出てくる可能性があることです。bjリーグの場合は特に3人の外国人選手がプレーしているわけですから、それがいなくなった時の実力を、NBLに比べると、かなり非力な感じがありますね。

 しかし(チームが)1部2部に分かれると、選手が1部に行きたくなる。陰でいろんな話を聞いていますけれど、選手はそこ(1部)でプレーしたいということになるわけです。その場合の移籍を積極的に、両チームが納得した上で(選手を)動かすことができるような環境整備をどうするのか。

 それからオン・ザ・コート(コート内で同時にプレーできる外国人選手の人数)がNBLとbjは違って、今NBLが1人とbjが2人、(NBLは第2ピリオドと第4ピリオドは)2人、(bjは第2クォーターと第4クォーターは)3人です。(FIBAは)少なくとも3人は認めないということを言っているわけですね。だから少なくとも2人以下にはなるわけだけれど、その場合にピリオドごとに外国人の登場をどう認めるのか。面白いやり方ができるのではないかとか、ファンの興味や関心を集めるやり方は、クラブの責任者同士で議論しながら方向を見いだしていけばいいと思います。私自身は口出しをしない方がいいと思っています。

 バスケットボール界においては、トップリーグの成功がまず一番にあって、それに続いて代表の強化は自ずとできていくということです。そういったことを中心にやっていく覚悟でいます。

――ガバナンスについては?

川淵 ガバナンスはね、あまり言いたくないようなことがあったりするから……(苦笑)。 ガバナンスのことはちょっとね。契約問題とかいろいろあって、そのときはJBAがそういう契約がいいと思ってやったんだけれども、僕らの立場から見ればちょっとそれは相手に寄りすぎじゃないかとか、協会の立場をもっと主張して、そういう契約をするべきじゃなかったかなと、今になって思うことがあります。当時の協会としてはそれが良かったんでしょうね。そういう意味で提携先、契約先との(契約)内容の見直しを積極的にやっていかなければならないと思っています。

バスケットが絶対に成功することは間違いない

――(新リーグへの入会申込みを済ませた)47クラブを精査した結果として、入会を認めないケースもあり得るのか? 和歌山トライアンズは来季のNBLに参加しないという発表があったけれど、和歌山はどうなるのか?

川淵 和歌山の内容についてまだ詳しく聞いていませんけれど、基本的に今度の新しいトップリーグでやる条件ははっきりしています。例えば5千人以上のアリーナ、8割以上をホームアリーナ(で開催する)ということは、1部へ入る場合には絶対の必須条件です。

 2部であれ3部であれ、地方自治体とちゃんと連携を取って、行政サイドがプロと認めるチームという条件、あるいは都道府県のバスケットボール協会からきちんと了解を取って、わが街のプロリーグとして認められているということ。それがちゃんと達成、実現できていないところは、欠格条件として、とりあえず申し込んだから入れるということにはなりません。ちゃんとそう申し上げているわけだから。

 2、3のクラブが、われわれが言った条件を確保できていないということはありそうです。ヒアリングを通じて、具体的にどうアプローチができるのか確認した上で、無理だと思ったら、入ることはできないということになります。でも要は、本当にバスケットボールのクラブをそこで育てていきたいと思うなら、いつもオープンに扉は開けているわけです。門戸をそこで閉めてしまうわけではありません。

――62万人の登録選手、バスケファンの方たちにこれからどう訴えていこうと考えているのか? 新しい理事会が外に向かってどういう活動をしていくのか?

川淵 選手の登録数が62万人というのは、本当にすごい数字です。ただ女性が30万人いるわけですが、そういうところの働きかけは、細部までを知っているわけではありませんが、無きに等しかったのではないかと思います。

 僕が現場に行って試合を見た場合に、女性が2、3人で連れだって見に来ているというのは結構多くて、ちょっとボーイフレンドを連れてきてくれればと思ったんですけれども(笑) 。サッカーもJリーグをスタートするときに、ガールフレンドと一緒に来いということを一生懸命言ったんですけれど、プレーをしてきた女性たちがバスケを愛しているなという感じはすごくあって、仲間をどうアリーナに連れてくるかということを、われわれがどう積極的に働きかけるのかというところだと思います。

 何度も申し上げたとおり、バスケットが絶対に成功することは間違いない。というのは僕が試合を見て本当に面白いと、全部そう思いましたから。しかしバスケットボールを見たことのない人の方が圧倒的に多いわけで、そういう人たちをいかにアリーナに連れてくるか。だからホームアリーナで(ホームゲームの)8割をやらなきゃダメだと言っているんです。そういうことを各クラブがようやく分かりはじめたと思うんですよね。

 タダ券で入れるなとか、そういうJリーグで学んできたことを伝え、各クラブが自分の工夫の中で、多くのファンに働きかけてどうアリーナに来てもらうか。そこのところが、これからの一番大きな問題です。それは協会とともに、クラブが必死になってやらなければならないし、使命感を持ってやってもらいたいと思います。

プレーヤーズファーストの組織を回復させる

「一般の人がいかに関われるか」と市民スポーツのあり方を話した小野副会長 【スポーツナビ】

――各理事の皆さんはどこに問題があって、どうアプローチしたいと考えているか?

小野 川淵さんのお答えを聞きながら、うんうんと言っているウチに、何かうっかりしていました(笑)。 バスケットは大好きで、部活に入っているときにバスケ部に入ろうとしたら隣が体操部の部屋で、「あんたこっちでしょ」と入れられたのが、そもそも高校時代なんですね。人生というのは本当に分からないモノだなと思います(編注:小野副会長は体操選手としてローマ、東京五輪に出場している)。

 本当に身近なところで、海外に行きますとどんな小さな公園にもシュートができるゴールがあります。日本も銀座の真ん中に一個あるのを知っているんですけれど。市民スポーツの原点は、一般の人がいかに関われるかというところにつながるのではないかと思います。ぜひそういった意味で、素人考えからの意見も皆さんに聞いてもらいながら、発展の一灯に、一石になっていきたいです。

三屋 現在はスポーツの企画運営をする会社の経営と、過去と今、数社の経営に携わらせていただいています。その中で山本理事も言われましたように、コーポレートガバナンスの強化が(企業経営では)言われていますので、そこの部分で私のやってきたことを多少お役に立てられればと思っております。

 それから元アスリートとして、プレーヤーズファーストの組織を早く回復させないといけないと思っています。バレー協会もそうですし、20年の東京五輪もそうですけれど、プレーヤーズファーストと言われていますが、違うようなところも多々あります(編注:三屋副会長はバレーボール選手としてロサンゼルス五輪で銅メダルを獲得)。

 新しく本当にプレーヤーズファーストの組織を、透明性を持ちガバナンスの効いた組織を作るために、協会がどうあったらいいのかというのは、私も今までやったことがないですし、この経験が自分の母体にも生かせるように精いっぱい頑張りたいと思っています。

 時間があればバスケットの試合にも顔を出させていただいて、都道府県協会の方々とコミュニケーションを取りたいと思っています。理事会だけではなくて、47都道府県の協会の皆さんと一緒に、これからバスケットボールをどうやっていくのかということも、一緒に考えていかなければいけないと思います。川淵さんお一人では無理なので、理事でも手分けをして、47都道府県の方々とのコミュニケーションを、密にはかっていくためにはどうしたらいいのかということも含めて頑張っていきたいと思っています。

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