横山典、熟練の手綱さばき今度は府中で! クラリティスカイ狙い通りのマイル頂点

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ダービーは回避濃厚、状態次第で安田記念に

ダービーは回避の方向、状態が良ければ安田記念へ 【スポーツナビ】

 もちろん、これだけ鮮やかなレースを展開できたのも、鞍上が強調したように馬の出来があったから、そして、ここまでの出来に仕上げた厩舎の力があったからこそ。弥生賞、皐月賞では「ピンと来ていなかった」というクラリティスカイの出来が、この府中マイル決戦を迎え「返し馬に出た瞬間にこれはいいなぁ、これならいける」と横山典に勝利の予感をもたらすほどまでに上向いていた。友道調教師がこの中間の具合について、次のように語った。

「弥生賞や皐月賞のときはまだちょっと馬が緩いなと感じていました。でも、去年の秋からそうだったんですが、詰めて使った方が良くなるタイプだったので、今回は皐月賞から中2週でしたけど、より一層状態が良くなっていましたね」

 と言っても、もともと皐月賞→NHKマイルカップというローテーションを思い描いていたわけではない。当然、皐月賞→日本ダービーと思っていたという友道調教師。しかしながら、皐月賞の結果と、横山典の進言もあってマイル王獲りへと矛先を変えた。これが見事に的中した。

「皐月賞のあとジョッキーと話したんですが、現時点ではマイルの方が“勝つ”ということに対してより確率が高いと思った結果です。こっちに使って大正解でしたね」

 今後、いったん放牧に出される予定で、ダービーは回避が濃厚。具合が良ければ安田記念に使う選択肢があるという。また、かつて友道調教師は松田国英厩舎の助手時代に、クラリティスカイの父であり01年NHKマイルCの覇者であるクロフネに騎乗していた経験がある。

「クロフネはやはり物凄いパワーを感じた馬でした。私はクラリティスカイには実際に乗ったことはないんですが、下で見ている分にはやはりパワーを感じますし、そういったところが似ていると思いますね。ですから、ダートも走るんじゃないかなと思っているんですが、この東京の速い芝に対応するんですから、クラリティスカイも凄い馬です」

 調教師のこの言葉から推測すれば、当面はもちろん芝マイル路線で古馬と対決ということになるのだろうが、将来的にはダート路線への参戦もあるかもしれない。文字通りの“クロフネ2世”として、芝・ダートを問わない活躍を今から期待せずにはいられない。

タイキクラリティの2015にも注目を

今後のクラリティスカイはもちろん、この母系にも注目を 【スポーツナビ】

 なお、これはちょっとした余談なのだが、生産牧場であるパカパカファームのハリー・スウィーニィ牧場長が、流暢な日本語でこんなことを明かしてくれた。

「当歳のときにセレクトセールに出したんですけど、なんと主取りだったんです。1800万円くらいだったかな? そんなに高くなかったのに信じられないですね!」

 その後、この血統に注目していた現オーナーの杉山忠国氏との庭先取引が成立して今に至るという。

 また、母タイキクラリティの産駒で競馬デビューしているのは、クラリティスカイと、1つ上の半兄クラリティシチー(父キングカメハメハ)の2頭のみなのだが、クラリティシチーもダービー卿CT2着、ラジオNIKKEI賞2着など重賞戦線で活躍中。さらにハリー牧場長は、クラリティスカイの半弟で現当歳の父オルフェーヴルの牡馬がすごく走りそうだということも付け加えてくれた。

「お母さんのタイキクラリティには今年もオルフェーヴルをつけようと思っているんです。これからトンボ帰りでしっかりと見ないとね(笑)」と、大満足の笑顔を見せていたハリー牧場長。POGファンのみなさん、ここはひとつ、タイキクラリティの2015に注目してみてはいかがでしょうか?

 ちなみに血統表を眺めていて、今更ながら気がついたのですが、クラリティスカイの祖母タイキダイヤ(懐かしい)の兄には、19年前のNHKマイルC初代覇者・タイキフォーチュンの名前。つまり、父クロフネに加えて、この母系――クラリティスカイとはまさにNHKマイルカップを勝つ血が凝縮された馬なのかもしれない、そんな“血のドラマ”を思ってしまったのでした。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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