メッシとグアルディオラの再会 CL準決勝で実現する師弟対決
お互いをリスペクトし合う関係
2人は今も変わらずお互いをリスペクトし合っている 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
今季のメッシは再び右ウイングでプレーするようになったが、実際はグアルディオラ時代より中央寄りのプレーエリアを幅広く動く“偽ウイング”として、チーム全体を動かす役割を担っている。グアルディオラも変わった。今の彼はドイツ語を流ちょうに操るようになっただけでなく、自身とは異なる伝統を持ちながらも時代の変化に対応する必要に迫られていたバイエルンのメンタリティーとフットボール哲学を着実に変化させている。
直接の理由ではないにせよ、恐らくグアルディオラがバルセロナを出て行くことを決めた最大の要因はメッシにあった。1年目に全てを勝ち取った後もチームのレベルを維持すべく苦心し、厳しいプレッシャーにさらされる日々が続く中、いち選手の立場を超越したメッシの存在をコントロールし切れなくなったこともあり、彼は一度ピッチを離れて充電期間を設け、その後に新たな挑戦を模索するのが最善だと判断するに至ったのだ。
それでも2人は、今も変わらずお互いをリスペクトし合っている。そのことを裏付ける言葉など必要ない。3月のバルセロナ対マンチェスター・シティ戦をカンプノウ(バルセロナのホームスタジアム)のスタンドで観戦した際、まるで少年のようにメッシの一挙手一投足を堪能していたグアルディオラの姿を見れば分かることだ。グアルディオラのラストマッチとなったコパ・デル・レイ(国王杯)のアスレティック・ビルバオ戦にて、2人が交わした抱擁もそうだ。
メッシのような選手を指導することはこの先二度とない。グアルディオラはそのことを知っている。そしてメッシも、自身のプレーに最も大きな影響を与えた指導者がグアルディオラであることをよく分かっている。
注目が集まるCLの準決勝
CL準決勝で2人は再会する。そのニュースは世界中で取り上げられることだろう 【写真:ロイター/アフロ】
グアルディオラは元バルセロナのチアゴ・アルカンタラを含めたテクニックの高いクラックをそろえ、ポゼッションスタイルを身につけた“新生バイエルン”を率いてカンプノウに帰ってくる。メッシはグアルディオラの選手時代の同僚であるルイス・エンリケの指揮下、チームの刷新の過程にあるバルセロナのリーダーとして恩師を迎え入れる。
それぞれバイエルン、バルセロナの一員として2人が再会の機会を得ることは、長い人生における1つの巡り合わせに過ぎない。それでも再びカンプノウにて実現する両者の共演は、無数のカメラのフラッシュやマイクに囲まれ、世界中のニュースで取り上げられることになるだろう。
(翻訳:工藤拓)