三者三様の精神状態で迎えるCL準々決勝 スペイン勢で4強に進むのはどこか!?

セビージャ戦でミスが目立ったバルサ

先週土曜のセビージャ戦では2点のリードを守りきれず勝ち点2を逃した感が否めないバルサ 【写真:ロイター/アフロ】

 選手、監督、スポーツディレクターとして活躍した経験を持ち、フットボールに関する事象を一歩引いた立場から分析する才を持つホルヘ・バルダーノは、これまで何度も「フットボールは精神状態を表す」と繰り返してきた。もちろんそれが全てではない。だが選手の精神状態がピッチ上のパフォーマンスに影響をもたらし、それが最終的な試合結果を左右することがあるのは確かな事実だ。

 リーガ・エスパニョーラを代表するビッグクラブであり、今週にチャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝を迎えるバルセロナとレアル・マドリー、アトレティコ・マドリーの3チームは、それぞれ先週末の国内リーグを異なる精神状態で終えた。

 一時は逆転不可能に思われたリーガの優勝争いにて、バルセロナは内容的には褒められたものではなかったもののカンプノウでのエル・クラシコを制し、残り10試合の時点でレアル・マドリーとの勝ち点差を4ポイントまで広げた。

 だが先週土曜のセビージャ戦では前半30分過ぎまでほぼ完璧にゲームを支配し、2点のリードを得たにもかかわらず、自らのミスによって勝ち点2を失ってしまう。エベル・バネガのシュートをはじき損ねたのは、目測を誤ったクラウディオ・ブラボのミスであり、ケビン・ガメイロの同点ゴールをもたらしたのもジェラール・ピケのパスミスだった。そしてシャビ・エルナンデスを投入して逃げ切りを図ったルイス・エンリケも、非常に良い動きを見せていたネイマールを交代させる判断ミスを犯している。

勢いに乗るパリ・サンジェルマン

パリ・サンジェルマンは先週末のフランスカップ決勝で大勝を収め、今季一冠目を手にしたばかり 【写真:ロイター/アフロ】

 この試合で露呈した安定感の欠如は、バルセロナのチームとしての完成度の低さをよく表している。個々のひらめきが噛み合った際には連動性の高いパスワークやプレッシングがはまることもあるものの、今のチームはそれを毎試合90分間保つことができない。しかもペップ・グアルディオラとティト・ビラノバの時代に貫かれていたプレー哲学も不可侵なものではなくなり、結果を手にする上で有効と判断した際には平然とボールポゼッションを放棄するようになっている。

 対するパリ・サンジェルマンは同じく国内リーグで首位を保っているだけでなく、先週末のフランスカップ決勝でバスチアに4−0と大勝し、今季一冠目を手にしたばかりだ。セビージャ戦で失った勝ち点2は、はたして水曜のCLにどう影響するのか。

 欧州での実績や過去の対戦結果、現有戦力、そしてカンプノウがセカンドレグの舞台であることを考慮すれば、バルセロナの優位を予想するのが妥当ではある。それでもパリから良いスコアを持ち帰ることができなければ、昨季に続いて4強入りを逃す可能性も十分にあるだろう。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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