エピファは賭け失敗 ハープは距離再考を 奥野庸介のドバイワールドカップデー回顧

JRA-VAN

ドバイシーマクラシック

ドバイシーマクラシックは、フランスの4歳牝馬ドルニヤが、2着に2馬身1/4差をつける完勝 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 展望で触れた5頭の次に控えていたフランスの4歳牝馬ドルニヤが、2番手追走から楽々と抜け出して優勝。同じフランスのフリントシャーに2馬身1/4差をつける完勝で芝2400メートル戦線の主役に躍り出た。

 英国のジャストザジャッジがつくった流れは1000メートル通過の推定タイムが63秒という超スロー。3コーナーの手前では9頭がびっしりと固まる欧州スタイルの競馬も結果に大きく響いた。内ラチ沿いを走るドルニヤを左に見て、ほぼ同じポジションに位置したワンアンドオンリーは、スローペースにも折り合いを欠くことなく上手に競馬を進めたが、直線向いて、ライバルのC.スミヨン騎手が逃げ馬を交わしにかかると、これについていくことはできず。最後まで懸命に盛り返そうとしたが、勝ち馬から4馬身1/4差の3着が精一杯だった。

 名手R.ムーアに手綱を託したハープスターは、スローを意識して普段より前で馬群に入れる競馬を試みたが、直線を向いて弾けることはなく、ブービー8着でゴールを通過した。ワンアンドオンリーの橋口弘次郎調教師は、想像以上の芝の深さを日本馬には不向きだったと指摘したが、末脚不発のハープスターの敗因のひとつに「距離」は考えられないだろうか。折角の素材である。G1凱旋門賞にこだわらず、もう少し短い距離を試しても良いのではないか。

 香港最強馬のデザインズオンロームも自慢の末脚が届かなかった。残り300メートルでJ.モレイラ騎手が大外から加速したときには、まとめて負かすのではと固唾(かたず)をのんだが、戦前の一抹の不安だった距離の壁が顔をのぞかせてしまった。米国芝王者としてドバイ入りしたメインシークエンスは7着。「井の中の蛙」と言っては馬に可哀想だが、このメンバーに入ると物足りなかった。

成長見られたワンアンドオンリー

敗れたとは言え、レースぶりに成長が垣間見られたワンアンドオンリー 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 勝ったドルニヤはアガ・カーン殿下の生産所有馬で、昨年4月のデビューから8戦5勝。近親にデイラミやダラカニを持つ良血で、昨年はG1ヴェルメイユ賞でバルチックバロネスの小差3着。G1凱旋門賞ではトレヴから4馬身1/4差で5着で、年明けはシャンティのAWでフリントシャーをクビ差でおさえた。しかし、まだ馬が幼く、巨漢(当時は508キロで出走)を持て余すようなところもあって、ロワイヨデュプレ師も完成はまだ先と見ていたようだ。2着フリントシャーともども、秋は凱旋門賞に駒を進めるとのこと。日本馬には手強い相手になりそうだ。

 敗れたとは言え、レースぶりに成長が垣間見られたワンアンドオンリーは7月の英国G1キングジョージ6世&クイーン・エリザベスS(アスコット、芝12ハロン)に再遠征の予定。欧州のビッグレースを勝ちきるには、いま一段のパワーアップが必要だが、夏が楽しみになってきた。

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