アルガルベ杯に見るなでしこの厳しい現実 W杯仕様の戦術は本番までに仕上がるか?
鍵を握る大儀見のポジション
新戦術では大儀見が高い位置を取れるかが鍵を握る 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
しかし、佐々木監督がボールを保持する時間ではなく、ボールを持つ場所にプライオリティーを置く戦略を打ち出したことで、大儀見の頭の中にははっきりと「高い位置で駆け引きをしながら相手DFラインに脅威を与える仕事をする」というイメージが定着した。1−3と完敗だった第3戦のフランス戦では、後半に中盤の構成で劣勢に立ったチームを助けようと中盤に下がり始めた大儀見が、相手の激しいマークに合ったことで実際に2失点目を喫した。大儀見は「自分のところはどこも狙ってくるけれど、打開できればチャンスになるのでああいう場面での一人で打開できる力をこれから身に付けていきたい」と気丈に振る舞ったが、新たななでしこの戦い方においては大儀見が中盤に下がってくる時点で負け。
確かな収穫と成長も見えた
宇津木のボランチ起用など収穫もあった。W杯本番までにどのようなチームに仕上げてくるのか 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
フランスに敗れた後、佐々木監督は「もっとしてやられるかなと思っていましたが、少し手応えを感じたのが現実。下を向くことなく、仕切り直してW杯に向けて準備をしていきたい」と語った。強気の発言にも感じるが、フランスとの前半は「相手がミドルゾーンに引いた中でも長短合わせたサッカーができた」(佐々木監督)という確かな収穫と成長が見えた。9位という順位は失望だったが、私は「絶対、フランスに喰らいつけるだけの力を日本の選手たちは持っている」という佐々木監督の言葉を信じながら、W杯までのなでしこジャパンの仕上がりを見守りたいと考えている。