ウーデゴーを生んだノルウェー育成クラブ チームの発展に貢献した2人の功労者
似ている選手はメッシとシルバ
16歳でレアル・マドリー移籍を果たしたウーデゴー(右)とはどんな選手なのか 【Real Madrid via Getty Images】
ウーデゴーのSNSをのぞくと、ある選手についての投稿が少なくないことに気付く。リオネル・メッシだ。幼少のころは父ハンス・エリックの影響でリバプールを応援していたウーデゴーだが、メッシのプレーに魅了されてからはバルセロナもひいきのチームに加わった。メッシがスペインリーグで新しいフェイントを披露すれば、すぐさまボールを持ってグラウンドへ向かい、そのテクニックをまねようとしたという。
実際、左利きという共通点のほかにもウーデゴーのプレースタイルはメッシとよく似ている。柔らかいボールタッチとクイックネスを生かしたドリブルで局面を打開するのが得意で、針の穴を通すようなスルーパスで味方を生かす能力も併せ持つ。一方で、16歳という年齢に似合わぬ優れた戦術眼を持っているのも特長だ。ストロムスゴッセのダビド・ニールセン監督はウーデゴーに似ている選手としてメッシ、それにダビド・シルバを挙げている。
国内屈指の若手育成クラブ
ストロムスゴッセ。ウーデゴーが脚光を浴びる前は名前すら聞いたことがないという人がほとんどだったはずだ。だがノルウェーでは国内屈指の若手育成クラブとして近年注目を浴びている。たとえば、14年度ノルウェー最優秀選手に選ばれたステファン・ヨハンセンはストロムスゴッセで頭角を現し、昨年1月にスコットランドのセルティックへ移籍。現在も主力として活躍している。
ストロムスゴッセが育成を意識し始めたのは05年のことだ。当時2部リーグに所属していたクラブは、ピークを過ぎたベテラン選手の獲得に血眼になっていたことが原因で大幅な赤字に悩まされ、破産の危機に追い込まれた。地元投資家の援助などもあり最悪の事態は免れたのだが、これを機にクラブは若い選手を育てることの重要性を理解し始める。
クラブの発展に貢献した2人
ひとり目はヨースタイン・フロー。かつてチェルシーなどでプレーしたトーレ・アンドレ・フローの実兄で現役時代はノルウェー代表やイングランドのシェフィールド・ユナイテッドなどで活躍した。02年にスパイクを脱いでから約4年後の06年1月にストロムスゴッセのスポーツダイレクターに就任すると、クラブの発展に大きく貢献。10年には、イングランドで培った人脈を生かしてマンチェスター・シティとの提携にこぎつけた。
フロー氏によると、両クラブの関係者は毎月のように話し合いの機会を設けており、育成や理療学などについて意見交換などが行われているという。欧州を代表するビッグクラブからのアドバイスは知識や経験面で大きな意味を持つことは言うまでもないだろう。
クラブ間での選手移籍も積極的に行われている。たとえば、マンチェスター・シティの下部組織に所属していたオマル・エラブデラウィは出場機会を求めて11年にストロムスゴッセに期限付き移籍。その後ギリシャの名門オリンピアコスへステップアップし、現在はノルウェー代表に定着するまでに成長した。フロー氏は「マンチェスター・シティとの提携はわれわれにとってとても有益だ。だがそれは彼らにとっても同じこと。エラブデラウィはストロムスゴッセで成長を遂げた。シティは、われわれが育成面で優れていることを知っているよ」と自信をのぞかせる。