小宮山悟が感じた大谷翔平の変化 垣間見た投手としての自信と覚悟

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変わった投球への取り組む姿勢

今キャンプ、小宮山氏は大谷の投球に取り組む姿勢に変化が見られたと話す 【写真は共同】

――大谷選手の変化球について聞きます。ストレートの力を考えると、ポイントは変化球にあると思いますが?

 カーブの練習に多く取り組んでいましたね。カーブは大谷選手が投げるのに一番難しい球でしょう。あれだけ速く腕を振るピッチャーが、遅いボールを投げるのは相当難しいテクニックです。そのボールをマスターすることで、もっともっと打たれる可能性が低くなるでしょう。

――昨秋は日米野球でも登板しました。春季キャンプで見た大谷選手の様子にそのことによる変化は感じられましたか?

 メジャーリーガー相手に良いピッチングができたということは相当な自信になったと思いますよ。彼の中で渡米する時はピッチャーでという気持ちが固まったと私は見ています。春季キャンプでの大谷選手の投げることに対する取り組む姿勢がこれまでと違っているように感じました。ピッチャーに重心が移っていると思いますね。

――具体的にはどのあたりに感じられたのでしょうか?

 春季キャンプでは数日しか(投球練習を)見ていませんが、今までは漠然と投げていたように見えていた大谷選手の投球が、投げながらいろいろと考えているように映りました。
 24日の紅白戦で中田翔にホームランを打たれた時もボールそのものの反省を踏まえて、もうちょっとこうしよう、ああしようということをその場で首をかしげて考えていたように思います。ですので、すごく頼もしく見えました。

打線の援護に恵まれれば20勝だってできる

――栗山英樹監督は3年目にして大谷投手を開幕投手に指名しました。

 昨年のクライマックス・シリーズ最終ステージ第5戦、福岡ソフトバンクに王手をかけられて後がない大一番で先発しましたが、選手の中から「大谷を先発させてほしい」という声が出たと栗山監督から聞きました。大谷選手のピッチングを見れば、そういう声が出るのもうなずけます。だから、今季、開幕投手に指名されたのだと思いますね。大谷選手は高校時代から素晴らしいピッチャーで、みんなが認めるボールを投げていた。そのピッチャーが1年ごとにたくましくなる姿を見れば、自然と信頼を得るようになるでしょう。

(開幕投手に指名され)チームに対して責任を負ったので、「結果を出さなくてはいけない」という立場から、「結果を出して当たり前」という立ち位置に変わりました。本人もやりがいを感じているのではないでしょうか。
 将来的には米国へ行くのでしょうから、それまでファイターズに対して貢献できるかという部分は重要になってくるでしょう。右肩上がりで成長して、開幕投手を任されたというのはそういう意味でもいいのではないでしょうか。

――今季、15勝という期待の声も大きいですが、活躍のポイントをどこに見ていますか?

 昨年のようにローテーションを飛ばすなど、甘やかさないことでしょう。年間通して約30試合に先発したら、半分くらいは勝つ(力がある)と思いますし、打線の援護に恵まれれば、20勝もするでしょう。
 ただ、普通のピッチャーと比べて、(イニング数は)4分の3くらいになると思います。その分、数字は物足りなくなるのは仕方がないでしょう。

(取材・構成:森隆史/スポーツナビ)

小宮山悟/Satoru Komiyama

現役時代はロッテや米大リーグ・メッツなど、日米球界で活躍した野球解説者の小宮山悟氏 【スポーツナビ】

 1965年9月15日生まれ。千葉県出身。芝浦工大柏高−早大−ロッテ−横浜−メッツ−千葉ロッテ。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。2年間の浪人を経て早大に入学し、4年時には主将を務めた。89年のドラフト1位でロッテに入団。正確なコントロールと抜群の勝負度胸で1年目から先発ローテーションに入り、97年には最優秀防御率のタイトルを獲得する。99年には横浜に、02年には米大リーグ・メッツに移籍。ボビー・バレンタイン監督の下でプレーする。1年間の浪人生活を経て、04年に千葉ロッテに復帰。09年に現役を引退した。日本での通算成績は455試合に登板して117勝141敗4S・防御率3.71。

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