第4節サンゴリアス戦、最後まで勝利を目指すがドロー決着に

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今季好調を見せるハラトア選手、前半のトライでも貢献 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

「最低限のスタートライン」から8か月、上積みされたスタンダードを示す一戦に

第4節東京サントリーサンゴリアス戦。秩父宮ラグビー場で行われたこの試合は26対26のドローという結果で終えた。

ここまで戦績は2勝1敗4位のスピアーズと、1引分2敗で11位のサンゴリアス。だがそんな戦績では語れないドラマがこのカードにはある。

前回の対戦は約8か月前。スピアーズにとって昨シーズンのラストゲームとなった試合だった。
若いメンバーを揃えて攻撃的な姿勢を示したスピアーズは、勝負が決したラスト1プレーになってもトライラインを目指して疾走した。

「昨シーズンのベストゲーム」
そんな表現をする人も多い申し分のない内容での勝利だった。
だが、昨シーズンまでキャプテンだった立川理道選手は、
「これが来シーズンに向けての最低限のスタートライン。サンゴリアス戦をベースにして、そこからさらに上積みしていく必要があります」
とシーズン終了後にこの試合を振り返った。

そうして始まった今シーズン、そしてこの対戦。。結果こそ勝利は得られなかったが、そのプロセスからはチームの着実な進化が見られた。

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25歳以下が23人中13人、若いチームは最後まで勝利を目指す

1月12日の午後2時5分、凍てつく寒さと緊張感の中キックオフした第4節は、立ち上がりからキックの多い試合だった。
ロングキックやハイパント、トライエリアに転がしたゴロキックなど、互いに多彩な足技を用いて交戦する。

最初に得点したのは前半15分にサンゴリアス。起点は強味のラインアウトとそこからの連続攻撃から。さらに25分にはスピアーズのハンドリングミスから相手11番にボールを取られて独走を許す。
14点とリードされたが、スピアーズは冷静だった。それまでアタックではゴール前まで相手を追い詰めていた。手応えを感じていたはずだ。

スピアーズは精度を高めてプレーを続けると、30分にフォワードの近場からバックスに展開しハラトア選手がトライする。

そして直後にはディフェンスから激しくプレッシャーをかけてマキシキャプテンがタックルすると、その後のラックでリカス選手がチャージをして末永選手に繋ぐ。こうした仕事人たちがボールを取り返せば、最後は決めるべき人が決める。ウィングの木田選手がパスを受け取ると、相手を振りきって同点に追いついた。

これでペースを握ったスピアーズは、その後の時間帯をポゼッション優先のラグビーに切り替える。前半終了間際にヴァンジーランド選手がトライラインに飛び込んで、7点を勝ち越して前半を終えた。

前節に続いて2試合連続トライを決める木田選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

タイラー選手が負傷によりアシペリ選手に交替してスタートした後半、序盤は前半同様に固いペースの取り合いが続く。

これまでの試合のように「ボムスコッド」と呼ばれるマルコム選手やオペティ選手といったインパクトのあるリザーブ陣を欠くスピアーズは、戦略的なリザーブ投入がいつもよりやや遅れる。
後半14分に、相手に中央を突破を許して同点に追いつかれたタイミングで、フルバックに岸岡選手を投入する。
その岸岡選手が投入直後に見せる。相手陣形をよく見たキックを落とすと、ノータッチのミスキックを誘った。これをうまくキャッチした廣瀬選手からフォーリー選手に繋ぎ、相手ディフェンスのギャップを見逃さずラインブレイクすると、そのままトライラインまで走り切った。

得点を26点として勝ち越したスピアーズは、直後にスクラムハーフや両プロップを入替。

猛攻を仕掛けるサンゴリアスに対して、ゴールラインを背負いながら見せた後半20分付近のディフェンスではスピアーズが真価を見せた。相手ラインアウトからのディフェンスで、イジ―・ソード選手や廣瀬選手といった選手がハードタックルで相手を倒し、トライラインあと1mの争いを制した。

33分には、アクシデントながら危険なタックルをしたとしてイエローを貰い14人での戦いを強いられる。最後まで守り切りたいスピアーズは、全員の粘り強いディフェンスで耐えるが、試合終了間際の39分にモールでトライを許して同点に追いつかれてしまう。トライ後の相手コンバージョンキックは、ゴールポストに2回弾かれ不成功。同点のままラスト1プレーを迎えた。

ここでスピアーズはリスタートでショートキックによりマイボールを保持して攻撃するが、ボールは相手に渡ってしまう。引き分けを良しとしない両者は、最後まで激しい攻防を繰り広げるが、最後はボールがタッチを割って同点のままフルタイムとなった。

後半の自陣でのディフェンス、初出場ながらハードタックルで相手を食い止めるイジ―・ソード選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

互いに譲れない思いを持った真剣勝負。
言い訳の余地のない勝負のなかで、結果はまさかの同点決着。
結果は引き分け、だが中身を見ればきっとわかる。これは双方勝者の試合であったと。

固い試合運びから2トライ取られて、3トライ取り返した前半。そして後半、14人の中でも見せた堅守。それでも最後は取り切ったサンゴリアスの戦う姿勢。同点の状況からのラスト1プレーでは、最後までボールを追い続けて互いに勝利を目指した。そんなプロセスひとつひとつを見れば、この激闘に勝者がいないことはあまりに惜しい。

次戦はホストスタジアム「えどりく」でリコーブラックラムズ東京と対戦。真の勝利を目指し、相手を迎え撃つ。

練習試合を含めてチーム初出場となったアキラ・イエレミア選手。お父さんは過去にサンゴリアスに所属したアラマ・イエレミア氏。「父は出場を喜んでくれたとともに、気負うなよとアドバイスをくれました」と試合後コメント 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

リーグワンデビューしたイジ―選手。「緊張しました。次はもっとワークレートとボールキャリア―を試合で見せたい」と振り返った。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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次戦ホストゲームは1月18日(土)リコーブラックラムズ東京戦、イベント情報やチケット情報、見所などは以下のリンクをご確認ください 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

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