Jリーグ人気を高める鍵はコアサポーター スタジアム観戦者調査2014報告会
新規層(=ライト層)が最も増えたのはC大阪
まず「新規層構成比(%)と推定新規層入場者数(人)」という調査。J1ではセレッソ大阪が突出しており、推定新規層入場者数が4万3400人、新規層構成比11.8%を記録して、いずれも2位以下を大きく引き離している。いわゆる「セレ女」と「フォルラン効果」が、ダイレクトに数字に現れた格好だ(逆にJ2に降格した影響が、今季の数字にどれだけ現れるかについては非常に気になるところである)。
J2では、推定新規層入場者数では、1位岐阜(3万600人)、2位松本(2万8900人)、3位讃岐(2万4100人)。新規層構成比では、1位讃岐(34.6%)、2位岐阜(19.2%)、3位長崎(11.1%)となっている。FC岐阜については昨シーズンから監督に就任したラモス瑠偉効果、カマタマーレ讃岐についてはJ2昇格効果といった「特需」による影響が明らかである。
14年の「新規層」は、Jリーグ全体では8.0%で、13年の8.5%よりも微減。では、昨シーズンにJリーグ観戦デビューを果たしたのは、どのような人々だったのであろうか。調査結果によると、平均年齢が36.6歳(11〜13年と変わらず)、53.4%が女性(11〜13年は46.3%)。Jリーグを見ようと思ったきっかけについて、5段階評価で質問したところ「対戦相手が魅力的」が3.40(全体では2.95)、「クラブの成績が良いから」が2.78(全体では2.62)という数値が出た。
女性の新規層が増えたのはうれしいニュースだが、やはり平均年齢がそれほど低くないのは気になるところだ。また、「対戦相手が魅力的」とか「クラブの成績が良いから」といった入り口から、いかにリピーターへの道筋を作っていけるかについては、それぞれのクラブの力量と魅力と努力次第と言うしかない。
ライト層の獲得と「スタジアムにおける自治のあり方」
「最近の研究では、チームと結びつけること以上に、ファンコミュニティーに属させることが、より(新規層を獲得する)即効性があると言われています。例えばスタジアムに行けば、面白そうな人たちとつながることができたとか、そういう“つながる力のない世代”をつなぐことができたら、さらに新規層を呼び込めるのではないでしょうか」
そして、さらにこう付け加えた。
「どうもゴール裏には、排他的なコミュニティーも散見されますが、それだと新規層を獲得するのは難しい。そこはクラブが、コアファンとのコミュニケーションをとりながら、ゴール裏のホスピタリティーをいかに発揮することができるかが重要だと思います。スタジアムにおける自治のあり方について、もう一度考えるべきなのかもしれませんね」
要するに、クラブの努力だけでは限界がある、ということなのだ。ゴール裏のコア層との理解と協力を取り付け、初観戦のハードルを下げていかなければ、ライト層を取り込んでいくことは難しい。昨年、ゴール裏の排他性が問題視される事件が起こったが、「スタジアムにおける自治のあり方」は、今後もリーグ、クラブ、そしてサポーターが共有すべき課題である。