Jリーグ人気を高める鍵はコアサポーター スタジアム観戦者調査2014報告会
またも上がってしまった観戦者の平均年齢
20日、都内のJFAハウスにて、Jリーグスタジアム観戦者調査2014報告会(以下、報告会)が行われた。この報告会は、Jリーグのレギュラーシーズンゲームでのアンケート調査を、筑波大学体育系の仲澤眞准教授がメディアに向けて発表しているもので、毎年2月のこの時期に行われる。昨年の2013報告会と比べて、総じて目新しいトピックスはなかったものの、間もなく開幕する新シーズンに向けて、個人的にいくつか気になったポイントについて考察してみることにしたい。
最初に注目したいのが、観戦者の平均年齢である。昨年の平均年齢は40.4歳で、13年の39.5歳から0.9歳上がって、ついに40代に突入してしまった。観客者の平均年齢は、調査がスタートした04年の34.1歳から10シーズン、平均約0.55歳ずつ上昇してきたが、ここにきて一気に0.9歳上がったことになる。ちなみに平均年齢が高いクラブを上げると、J1がアルビレックス新潟(45.4歳)、大宮アルディージャ(43.7歳)、清水エスパルス(43.6歳)。J2では大分トリニータ(46.4歳)、ギラヴァンツ北九州(44.7歳)、ロアッソ熊本(43.8歳)と続く。観客の高齢化はとりわけ地方都市に顕著で、少子高齢化社会の縮図を見ているかのようである。
もっとも仲澤准教授は、この数字を「特にネガティブに捉える必要はない」としている。その根拠は3点。(1)日本国民全体の平均年齢46.1歳より下回っていること、(2)イングランド・プレミアリーグの平均年齢41歳(11年)よりも下回っていること、(3)同伴した子どもの年齢も加えると34.1歳となること。(3)について補足すると、これまでは11歳以上が調査対象であったが、13年から試行的に同伴した子どもの年齢も調査するようにしており、仲澤准教授は「こちらの数字(34.1歳)のほうが実態に近い」としている。とはいえ、観客の平均年齢が上がり続けているという現状に変わりはないわけで、ライト層の獲得(後述)については真摯(しんし)に考える必要があるだろう(ちなみに1と2に関して仲澤准教授は去年も同様のことを述べている)。
地域コミュニティーから絶大な評価を受けている松本
(A)1位松本、2位川崎、3位広島、4位鳥栖、5位新潟、6位岡山、7位湘南
(B)1位川崎、2位松本、3位鳥栖、4位新潟、5位甲府、6位岡山、7位広島
(C)1位松本、2位鳥栖、3位広島、4位岡山、5位G大阪、6位C大阪、7位湘南
(D)1位松本、2位広島、3位鳥栖、4位川崎、5位湘南、6位山形、7位鹿島
以上を受けての総合ランキングは、1位松本、2位鳥栖、3位広島、4位川崎、5位岡山、6位湘南、7位山形となった。いかに松本山雅FCが、地域コミュニティーから絶大な評価を受けているクラブであるか、ストレートに理解できるデータだ。ちなみに松本は「観戦の動機やきっかけ」という調査でも興味深いデータを示している。「応援しているクラブの地域貢献」「友人・家族に誘われたから」「クラブの成績」「周囲で話題になっているから」という項目で、いずれも松本は40クラブ中1位となっていた。
昨シーズンはJ2最多となる1試合平均1万2733人の観客数を記録。前年比15.3%という驚異的な伸びは、もちろんチームの好成績に起因するところもあるだろうが、むしろサポーターや地域住民が「応援しているクラブの地域貢献」に報いるために応援に駆けつけている点に注目すべきであろう。仲澤准教授も「公共性や公益性への配慮をしているクラブが、経営的にも上向いているのは事実。逆に地域貢献にいい加減なクラブは、痛い目に遭っていますね」と語っている。