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今井正人に訪れた脱“山の神”の瞬間
マラソンの潜在能力、東京でついに開花

世界切符大きく引き寄せる快走

東京マラソンで日本人トップの7位に入った今井正人。期待され続けた30歳の才能がついに開花した
東京マラソンで日本人トップの7位に入った今井正人。期待され続けた30歳の才能がついに開花した【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 2月22日に行われた東京マラソン2015。今夏の世界選手権(中国・北京)のマラソン代表選考会を兼ねた男子は、30キロを過ぎてから粘りを見せた今井正人(トヨタ自動九州)が2時間7分39秒で日本人トップとなる7位に入った。日本勢の7分台は3年ぶり。世界選手権代表の座を大きく手繰り寄せる結果となった。


 今大会のペースメーカーは1キロ2分58秒で30キロまで。これは昨年出された大会記録2時間5分42秒の更新を狙うためのもので、日本人には少し厳しいペースだ。だが実際はそこまで上がらず、中間点の通過は1時間3分8秒。レース序盤に松村康平(三菱重工長崎)が後退した以外は、日本人有力選手はほとんどが先頭集団に残る展開となった。


 しかしそこからわずかにペースが上がると後退する選手が相次ぎ、25キロの時点で先頭集団に残った日本人は今井と佐藤悠基(日清食品グループ)、佐野広明(Honda)の3名。その後、佐藤も遅れ、30キロでペースメーカーが離脱した時点では今井と佐野の2名となった。


「序盤から両足のすねに張りを感じていました。最初はきつくても落ち着くことが今までにはありましたが、今回はそうならず焦ってしまいました」(松村)


「25キロくらいから足が重くなってしまいました。そこから自分のペースでいこうかと思いましたが、いけるところまで行こうと思って。(体調不良などで)練習不足もあり、それがもろに出てしまいました」(佐藤)

課題の“30キロ以降の走り”を克服

 30キロから海外有力選手はお互いをけん制しながら少しずつペースアップ。佐野、今井はその争いに加われず徐々に遅れ出したが、今井は大きく崩れることなく耐えた。


「30キロの時点で今までのマラソンの感覚と違って(体が)動いていました」


 今井の30キロから35キロは15分6秒と、25キロから30キロまでとほぼ同じペース。この間、10秒ほどペースアップした7名の海外招待選手には差をつけられたが、35キロ以降は先頭集団から遅れてきたツェガエ・ケベデ、マルコス・ゲネティ(ともにエチオピア)を引き連れ力走。2時間4分台のベストを持つケベデに先着し、7位でフィニッシュした。


「これまでのマラソンでは30キロを過ぎてからは足を前に出すのがやっとでしたが、今回は股関節から動かしていけたので、精神的にも余裕を持つことができました。35キロ以降は何とか踏ん張ったという感じ。(タイムの)落ち込みも最低限に抑えることができたと思います」


 マラソン10戦目の今回、“30キロ以降の走り”という課題を克服し、好記録につなげることに成功した。

加藤康博

1976年埼玉県生まれ。スポーツライター、ノンフィクションライター。国内外の陸上競技に加え、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールといった“フットボール全般”の取材をライフワークとする。スポーツだけでなく、「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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