球宴で感じた“群雄割拠の時代”の到来 輝きを放つレブロンに続く世代の選手たち

杉浦大介

多くの新スター、スター候補たちが台頭

レブロン(右)が貫禄を見せた一方、多くの新スター、スター候補たちが台頭した 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 このように東西2人のスターの意欲に引っ張られたオールスターだが、もちろん彼らだけの独壇場だったわけではない。

 スペイン出身のガソル兄弟は試合開始のティップオフで対峙する歴史的瞬間を演出し、534人というとてつもない人数が取材に訪れた海外メディアを歓喜させた。今季最大のサプライズチームとなったアトランタ・ホークスからはアル・ホーフォード、ジェフ・ティーグ、カイル・コーバーポール・ミルサップの4人が出場し、リーグに吹き荒れる“ホークス旋風”を大舞台でも継続させた。

 前半戦でMVP候補に挙げられたハーデン(この試合では29得点、8リバウンド、8アシスト)、カリー(同15得点、9リバウンド、5アシスト)もそれぞれ持ち前の個人技を披露し、印象的なハイライトシーンを生み出した。

 土曜日のスラム・ダンクコンテストでは、19歳の新鋭ザック・ラビーン(ミネソタ・ティンバーウルブズ)が大技を連発して優勝。ビンス・カーター(現メンフィス・グリズリーズ)が制した伝説的なコンテストから15年目にして、新たなスーパーダンカー誕生を印象づけた。

 レブロンのような主役が貫禄をみせた一方で、このように多くの新スター、スター候補たちが台頭したのも今年の球宴の特徴と言える。90年代からNBAを引っ張って来たコービーが2年連続で出場できなかったことも、あるいは時代の移り変わりを象徴するサインだったのかもしれない。

プレーオフで新王者が生まれれば……

カリー(右)やジョン・ウォールらがオールスターで活躍。プレーオフで新王者が生まれれば、世代交代はさらに加速しそうだ 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 最強プレーヤーのバトンはコービーからレブロンに渡され、現役2番手の存在と目されるデュラントが“選ばれし男”と呼ばれるレブロンを追いかけ続けている。そして、それに続くカリー、デイビス、ハーデン、ウェストブルック、ジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)といった若武者たちが、2015年の球宴の舞台となったニューヨークで輝きを放った。

 今も昔もオールスターは時代を映す鏡でもある。今年の球宴が映し出したのは、レブロンに続く世代による“群雄割拠の時代”の到来だったのだろうか。

「レブロン、コービーは優勝、MVPを勝ち取り、伝説的な存在になっていった。僕にはまだやるべきことが残っている。今後もハングリーな姿勢を保ち続たい」

 最近ではアンソニー・デイビス(ニューオリンズ・ペリカンズ)と並んで次のスーパースター候補に挙げられることの多くなったカリーはそう語る。その言葉通り、今春のプレーオフで新王者が生まれれば、世代交代はさらに加速するのだろう。

 大都会で行われた華やかなオールスターは見事に成功。この豪華絢爛(けんらん)なオールスター週末で勢いを付け、“次代の覇者”を決めるプレーオフの戦いに向けて、今後のNBAはさらに盛り上がりそうな予感も漂ってくる。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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