したたかなチェルシー優勝は既定事項? 引き分けに終わったプレミア上位直接対決
アンリ「優勝するのはチェルシーだ」
「ジョゼ・モウリーニョを見ていたが、チェルシーが攻撃を仕掛けた後、彼は何度もネマニャ・マティッチとラミレスに『戻れ! 戻れ!』と叫んでいた。そして、モウリーニョは1点しか取れないと判断し、終盤に(DFの)ガリー・ケイヒルと(19歳のMF)ルーベン・ロフタス=チークを投入した。この1ポイントが優勝につながると判断したのだ」
元アーセナルのティエリ・アンリも同様の見解だ。彼は現役引退を発表し、今月から『スカイスポーツ』の解説者に転身すると、スマートな語り口と鋭いオピニオンで早くも人気解説者となっている。
「まずはシティを褒めよう。今季、スタンフォード・ブリッジから勝ち点を持ち帰ったチームがいたかい? ノーだ。シティは先制されたが、見事な反撃を見せた。ボール支配率もチャンスの数も上回っていた。だが、勝てなかった。それは相手がチェルシーだから仕方がない」
「これがチェルシーなんだ。彼らは良いパフォーマンスを披露できなくとも、1−0で勝ったりする。今日も苦しんだが負けなかった。それこそ王者の証だ。だから、優勝するのはチェルシーだ」
「タイトルレースについて知っておくべきこと」
マウリシオ・ペジェグリーニ監督からは試合内容について非難を浴びた。
「最初から勝利を目指していたのは片方のチームだけだった。我々はリスクを冒し、勝とうとしていた。チェルシーがやったことについて話したくはない」
ただ、P・ネビルやアンリが分析した通りの出来に、モウリーニョは内心ほくそ笑んでいるに違いない。リーグからの“お小言”も、敵将からの皮肉も、それで優勝を手繰り寄せられるなら蚊に刺された程度のものだろう。
今回の結果を受け、『BBC SPORT』のウェブサイトには「タイトルレースについて知っておくべきこと」という記事が掲載された。これによると、第23節までを終了した時点で5ポイント差をつけて首位に立っていたチームに対し、それをひっくり返してプレミア優勝を飾った最後のチームは、アーセナルを逆転した2002−03シーズンのマンチェスター・ユナイテッドなのだという。もう少し調べてみると、このシーズンを最後に、プレミアでは23節消化時点で首位に立っていたチームが11年連続でトロフィーを手にしている。
チェルシーの優勝は既定事項――。
モウリーニョと仲間たちのしたたかな戦いぶりを目の当たりにして、イングランドにはそんなムードが漂いつつある。