メインはJJへの次期挑戦者決定戦=高阪剛が語るUFC182.5見どころ
求められるインパクトのある勝利
UFCライトヘビー級の絶対王者ジョン・ジョーンズとの再戦が期待されるアレクサンダー・グスタフソン。次期挑戦者決定戦を勝ち抜くことができるか!? 【(C)Photo Courtesy of UFC】
――今回は「UFC 182.5」の見どころを語っていただきたいのですが、メインイベントはアレクサンダー・グスタフソンvs.アンソニー・ジョンソン。先日、ダニエル・コーミエを下し、ライトヘビー級王座を防衛したジョン・ジョーンズへの次期挑戦者を決める一戦となりますが、この試合をどうみていますか?
まず、この前の試合で、あらためてジョン・ジョーンズが、底知れない強さを見せつけたばかりですからね。あのダン・ヘンダーソンやジョシュ・バーネットを子ども扱いにしたダニエル・コーミエが、ほとんどテイクダウンもできないという。だから、ジョン・ジョーンズを一体誰が倒せるのか?ってみんなが思ってる中での次期挑戦者決定戦ですから、どちらが勝つにせよ、かなりインパクトがある勝利が求められるでしょうね。
――そんな中で、グスタフソンは前回ジョン・ジョーンズを最も苦しめた男(13年9月に5R判定負けの惜敗)として、再戦が期待されてますよね。
そうですね。グスタフソンは、ジョン・ジョーンズとほぼリーチが一緒なんですよ。そして、しっかりとしたボクシング技術を持っている。
――ジョン・ジョーンズはたいてい体格的なアドバンテージがありますけど、グスタフソンに対してはそれがなくて、またボクシングテクニックがあることで苦戦を強いられましたよね。
このグスタフソンの強みっていうのは、もちろんジョンソンに対してもかなりのアドバンテージになると思うんですよね。グスタフソンというのは、タックルの精度に多少問題はありますけど、手足の長さや間合いの取り方、空間の支配の仕方をよく知っている。遠い間合いから攻撃が仕掛けられて、またあのリーチの長さで腕を畳んでしっかりワンツーが打てるんで。相手はなかなか中に入れないと思うんですよ。
ジョンソンの戦い方がカギ
アンソニー・ジョンソンはグスタフソン相手に持ち前の突進力を発揮できるか!? 【(C)Photo Courtesy of UFC】
対するアンソニー・ジョンソンは、一発の破壊力はものすごいものがあるんですけど、パンチがフック系なんですよね。ということはグスタフソンの距離で戦ったら、まずパンチが届かない。だから中に踏み込んで打たなきゃいけないんですけど、フックっていうのはスウェーバックされると、当たらないんですよね。とくにジョンソンのパンチの軌道は、伸ばしてくるのではなく、手前を通るパンチなので、ちょっと苦しいと思いますね。
――アンソニー・ジョンソンと言えば、あのアントニオ・ホジェリオ・ノゲイラをアッパー一発で秒殺KOしたすごまじい破壊力の打撃が武器ですけど、それを当てるのが難しいんじゃないか、と。
だから、ジョンソンがグスタフソン相手に、どうやってパンチを当てるか。その対策をどれだけ練ってきてるのかが、第一のカギになるでしょうね。あとは、打撃を当てるのが難しいのであれば、自分的にはジョンソンに寝技をやってほしいんですよね。
――ジョンソンにグラウンドのイメージはあまりないですけど、もともとレスリングでジュニアカレッジの全米王者ですからね。
だから、テイクダウンは取りにいくと思うんですよ。グスタフソンの間合いを潰して、もしくは遠い距離から飛び込んで入るタックルで、テイクダウンを奪う技術っていうのは持っているので、それが決まれば、崩す突破口になるかなと思いますね。また単純な話、ジョンソンのパンチは当たれば倒れるパンチですから。タックルをまぜながら、フェイントを使ってパンチを当てられるかどうかですよね。プラス、グスタフソンのジャブをいかにもらわないか。
――では、ジョンソンが取るべき距離というのは、グスタフソンのパンチも当たらないくらい遠い距離から、持ち前の突進力で一気に踏み込めるかどうかですかね。
そうですね。あとは5ラウンド制なんで、スタミナ勝負に持ち込むという方法もあるんですが、アンソニー・ジョンソンはスタミナがあるタイプだと思えないですよね。
――そうですね(笑)。となるとジョンソンの爆発力で、早い段階でグスタフソンを嵐に巻き込むことが必要となりますね。
それをジョンソンができるかどうかですね。だから駆け引きの部分もキーになってくると思います。ジョンソンも、今までの相手と同じようにいってもパンチが当たらないっていのは、分かってると思いますから。そこに何を混ぜてくるか。それがステップなのか、踏み込みを深くするのか。もしくは打撃を意識させておいてのタックルなのか。グスタフソンの方は、ほぼ自分の戦い方が完成されてると思うんで、ジョンソンがどんな戦い方をするのか、その出方に注目ですね。