センバツ出場校決定!注目選手を紹介 紫紺の優勝旗は誰の手に!?

松倉雄太

東京の“二刀流”は打撃に注目

昨年夏の甲子園を制した大阪桐蔭は近畿大会ベスト8ながらも出場決定。夏春連覇の快挙なるか? 【写真は共同】

 次に3人の打者を紹介したい。

 まずは明治神宮大会ベスト4まで勝ち上がった東海大菅生高(東京)の勝俣翔貴(2年)。エースとしてマウンドに上がるが、本人は「バッティングの方が好きです」と話す。東京大会ではチームトップの打率4割1分2厘をマークし、全試合でヒットを放った。神宮大会1回戦では、静岡高(静岡)の右腕・村木文哉(1年)から、右中間の最も深い所にライナーで本塁打を叩きこんでいる。東京大会、神宮大会合わせて8試合で11個の四死球を選ぶなど、数字面でも相手投手の警戒が見て取れる。

 九州学院高(熊本)の1年生4番・松下且興は、とにかく“当たれば飛ぶ”スラッガー。九州大会では2試合連続で本塁打を放っている。10年夏の甲子園で1年生ながら4番を務めた萩原英之(現・明治大)に憧れて九州学院高に入学した松下を、坂井宏安監督は同じ1年夏から4番に抜てきした。新チームとなった秋からは、経験がなかった遊撃手になり守備面では苦労したが、「松下は初心者だからエラーしても気にするなとエースの伊勢大夢(2年)に言っている」と指揮官は大きく育てる意向を示している。

 天理高(奈良)の舩曳海(2年)は、俊足が自慢の1番打者。近畿大会では打率2割5分と苦しんだが、準決勝を除く3試合で盗塁を成功させた。特に決勝の立命館宇治(京都)戦で見せた三盗は、見ているものを痺れさせるくらい鮮やかなものだった。また、「50メートルより100メートルの方が自信はある」と話すように、ヒットを二塁打、二塁打を三塁打にしてしまう走力と勘の良さも際立つ。4番のスラッガー・坂口漠弥(2年)など中軸の強打も光るが、1番・舩曳と2番・齋藤佑羽(2年)の2人で得点を奪えれば、天理打線の流れになるのは間違いない。

夏春連覇の挑む大阪桐蔭、投打に軸

 昨年の甲子園、神宮大会を沸かせた選手たちも虎視眈々(たんたん)と紫紺の優勝旗を狙っている。

 夏の覇者・大阪桐蔭高(大阪)は、近畿大会ベスト8ながら優勝した天理に1点差負けということもあり、出場を果たした。甲子園で2試合に先発し、3回戦の八頭高(鳥取)戦では3安打完封をやってのけた左腕の田中誠也(2年)がエースとして新チームに残留。秋は公式戦全試合で先発し、経験を生かしたピッチングで引っ張った。主将となった福田光輝(2年)と青柳昂樹(2年)も夏の経験者で、最終学年となる今年はドラフト候補にも名を連ねている。1982年夏、83年春を連覇した池田高(徳島)以来の偉業(夏春連覇)に挑む。

 その大阪桐蔭高に夏の準決勝で敗れたのが敦賀気比高(福井)。当時エースの平沼翔太(2年)は涙を流し、新チームでのリベンジを誓った。疲労が残った秋は本調子と言える状況ではないなかで、勝つためのピッチングを模索し、北信越大会優勝まで導いた。今年の目標はもちろん、全国制覇しかない。
 春の選抜連覇を狙うのが龍谷大平安高の高橋奎二(2年)。昨秋は左2枚看板のもう1人だった元氏玲仁(2年)が投手としてはマウンドに立てず、公式戦の全試合を投げ抜いた。近畿大会連覇はならなかったが、最低限の目標としていたベスト4に残り、選抜出場を果たした。

 そして明治神宮大会優勝投手となった仙台育英高(宮城)のエース・佐藤世那(2年)。強打を誇る天理や九州学院、浦和学院を相手に堂々のピッチングを見せ、マウンドを守り抜いた。佐々木順一朗監督は彼以外の投手の成長をテーマに掲げているが、エースは最大5試合の選抜に関しては、マウンドを譲る気はない。01年秋の神宮と02年春の選抜を制した報徳学園高(兵庫)以来の二冠達成へ向け、今はパワーアップへの道、真っ只中だ。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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