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強い「神鋼ラグビー」が帰ってきた理由
チームを変えた“ゴールド革命”

リーグ戦1位でプレーオフへ「自信になる」

神戸製鋼をリーグ戦1位に導いたゴールドHC(中央)。右は平尾誠二GM
神戸製鋼をリーグ戦1位に導いたゴールドHC(中央)。右は平尾誠二GM【斉藤健仁】

 強い“神鋼”が帰ってきた。


 ラグビーのトップリーグは1月24日(土)から、上位4チームによるプレーオフトーナメント「LIXIL CUP 2015」が始まる。1988〜94年度には全国社会人大会(当時)7連覇を達成した神戸製鋼が、優勝したトップリーグ元年の2003年度以来、リーグ戦を首位で通過した(2003年当時はプレーオフがなく、そのまま優勝。それ以来、神戸製鋼はタイトルから遠ざかっている)。


 好調を維持するコベルコスティーラーズを今シーズンから率いたのは、2008年度から3年間、南アフリカ代表のアシスタントコーチも務めた47歳のギャリー・ゴールドHC(ヘッドコーチ)だ。1997年からプロの指導者としてのキャリアをスタート。来日前はイングランドのニューカッスルやバースでもヘッドコーチを務めた。


 南アフリカ出身の指揮官を招聘した平尾誠二GM(ゼネラルマネージャー)は「チームに最もふさわしいコーチは誰が良いのかと考えた結果、たまたま外国人だった」と言うものの、ゴールドHCは伝統あるクラブにとっては初の外国人指揮官に就任した。「神戸製鋼の歴史、そして野望をわかった上で引き受けました。自分がコーチをすることで違う環境を生み出せると思った。リーグ戦をトップで通過したことは、プレッシャーではなく逆に自信になる」(ゴールドHC)

元日本代表の谷口「めっちゃ、やりやすい!」

チャンスをつかんだ山中は司令塔として躍動している
チャンスをつかんだ山中は司令塔として躍動している【斉藤健仁】

 就任直後、ゴールドHCはベテランのLO伊藤鐘史やFL橋本大輝主将を中心としたリーダーたちと「勝つために何を変えていかないといけないのか、どうすべきなのか話した」という。まず行ったことは2つ。「チームとしてフィジカルを上げていかないといけない。そしてもう一つは試合に近い強度で練習をしないといけない」(ゴールドHC)


 開幕前の練習試合で、昨年度のリーグ戦で2試合89分しか出場しなかった2年目の司令塔・山中亮平、1試合9分の出場だった3年目のFB井口剛志らが躍動する。「私は選手に対してキャップ(代表での国際試合出場数)やベテランといった先入観を持っていません。全員をフェアに見ている。誰もが目の前にチャンスがある」(ゴールドHC)

 練習試合で活躍しないと試合に出られない。そのため、競争が促され、チームが活性化。特に山中はリーグ戦14試合すべてに出場し11試合で先発に名を連ねた。


 また経験豊かなゴールドHCの指摘は常に前向きで具体的かつ詳細だ。ほとんど褒めてばかりだという。「プレーとプレーの間のランがいいと言われました。攻撃時にエッジ(ライン際)で待っていることも、相手のディフェンスを広げると褒められた。めっちゃ、やりやすい!」(No.8谷口到)

緻密な指導でディフェンスを整備

トヨタ戦で相手を止める橋本大輝主将(左)と伊藤鐘史
トヨタ戦で相手を止める橋本大輝主将(左)と伊藤鐘史【斉藤健仁】

 ラグビーも大きく変わった。南アフリカ出身らしく、ゴールドHCはまずディフェンスからチームを作った。就任会見でも「アタックキングチームになるように指導するが、まず、その前に良いディフェンスができるようにしたい」と述べた。


「本当に重要なこと、パフォーマンスに直結することだけにフォーカスするようにしている」というゴールドHCの哲学は明快である。「トップレベルで競い合うためにはディフェンスがトップレベルであることが必要だ」。神戸製鋼のFW(フォワード)が大きくて強いということもあり、キックを効果的に使い、相手陣でプレーすることが指針となった。「ボールポゼッション(保持率)は、そんなに高くなくてもいい。相手にずっとボールを持たれていても、敵陣22m内でプレーしていればトライは取られない」(CTB山本大介)


 最低、週に1回、タックル後すぐに起きてディフェンスラインをセットする練習を重ねた。素早くセットすることができた場合は「ブリッツディフェンス(真っすぐ相手に詰める)」を行い、相手がプレーするスペースと時間を奪う。もちろん、相手の人数が多い場合は、選手たちが判断してドリフトディフェンスに切り替えるが、基本的に前に出続けている。そして、タックルスキルだけでなく、ディフェンスラインの幅、前に出るスピードなども指揮官は指導した。その結果、今シーズンの2ndステージは上位8チーム中、得点は最多となる242点(トライ数も30でトップ)だけでなく、失点も最小の113点となった。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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