大仁田軍壊滅へ貴闘力が長州と初合体 1・12レジェンドプロレス見どころ

大仁田厚が因縁の3人と対戦

長州&貴闘力の“そっくりコンビ”が因縁の大仁田を迎撃をするため合体 【(C)レジェンドプロレスリング実行委員会】

 12日に開催が迫ったLEGEND THE PRO−WRESTLINGの2015年初戦となる後楽園ホール大会。長州力と大仁田厚が久々に対戦する話題のメインイベントをはじめ、バラエティ豊かな全6試合が揃った。

 メインイベントは「長州力&初代タイガーマスク&貴闘力vs.大仁田厚&矢口壹琅&保坂秀樹」。過去と現在の因縁が渦巻く注目の6人タッグマッチだ。
 邪道軍を率いる大仁田は相手チームの3人とは深い遺恨でつながっている。初代タイガーマスクとは2012年3月にリアルジャパンマットで初対決。2度の一騎打ちを経ても決着がつくどころか抗争は激化するばかりで、邪道軍とリアルジャパン軍の全面対決にまで発展した。

 その渦中で貴闘力との因縁も生まれた。2013年9月、リアルジャパン後楽園ホール大会をリングサイドで観戦していた貴闘力を襲撃。担架送りにした上でプロレスデビューを要求した。まさかの無法行為に激怒した貴闘力は、12月大会で大仁田の試合に乱入。両者の怒りは沸点に達し、去年のリアルジャパン4.16代々木大会でに邪道軍を成敗すべくとうとう貴闘力がプロレスデビュー。プロレス転向2戦目となった12.5後楽園大会でも、邪道軍と貴闘力は対戦しており、抗争が収まる気配はない。

 たとえ試合上は黒星を喫しても、自分たちのペースに持ち込んで因縁を深め、「点」を「線」にしていく手法は邪道流プロレスの面目躍如と言ったところだが、その仕掛けがさらに飛び火。大仁田が「初代タイガーマスクならびに、貴闘力、ついでに長州力の相手をしてやるから、カードを組んで待っておけ」とレジェンド実行委員会側に要求したのを発端に、今回いよいよ長州力が抗争のど真ん中に割って入ることになった。

 大仁田は90年代後半、長州が現場監督を務めていた当時の新日本プロレスにケンカを売り、執拗に長州に電流爆破マッチを要求。三銃士全盛期の新日本で戦い抜き、2000年の7.30横浜アリーナ大会で長州との電流爆破マッチを実現させた。長州が発した「またぐなよ」発言や大仁田が実現までの道程でテレビ朝日の真鍋由アナウンサーと繰り広げた「大仁田劇場」はあまりにも有名だ。

 2人の因縁は、長州が新日本を退団した以降も続く。長州が2003年にWJプロレスを旗揚げすると、大仁田も参戦。同年の6.29北海道立総合体育センター大会では2度目の電流爆破マッチで対戦している(長州&越中詩郎vs.大仁田&天龍源一郎)。この日を最後に長州と大仁田の戦いが交わることはなく、今回の対戦は実に約10年6カ月ぶりとなる。

長州の動きいかんで貴闘力の潜在能力爆発も…

約10年ぶりに長州と対戦する大仁田 【(C)レジェンドプロレスリング実行委員会】

 ここまで戦線を拡大したのは大仁田の狙い通り。早くも長州との電流爆破マッチまでぶち上げているが、この長州の参戦は諸刃の剣でもある。これまでの初代タイガー&貴闘力の抗争では、セコンド総出で乱戦に持ち込み、凶器攻撃や反則を駆使して強引に邪道ペースに持ち込むことで有利に進めてきたが、長州はそんなファイトに付き合うつもりはさらさらないはず。力ずくで押し潰しにかかるだろう。

 長州は過去の遺恨を忘れてはおらず、記者会見の席では「何を言われてもやるとなったら、一言で言えば倍返しですね。倍返しじゃ済まないかもしれない。後楽園に救急車でも呼んどかないとぐらいの気持ちで僕はやりますよ」と“倍返し”を予告。あくまでも「自分との戦い」というスタンスを取ってきた最近の長州としては珍しい異例の激しい言葉で大仁田を挑発している。

 長州が持ち前の突破力で邪道軍の動きを制すれば、これまで大仁田たちの仕掛けに翻ろうされてきた貴闘力ものびのびと戦うことができる。長州と貴闘力は以前から交友関係にあり、信頼も強い。過去2戦で圧倒的な爆発力を見せた貴闘力の潜在能力がさらに発揮される可能性も……。そこに百戦錬磨の初代タイガーが加わるのだから、長州組の圧勝で終わり、これまでの抗争に決着が付いてもおかしくない。初めてタッグを組む長州と貴闘力の戦いぶりだけでなく、大仁田がどう劣勢を覆していくのかにも注目したい。今年のLEGEND THE PRO−WRESTLING、そしてリアルジャパンマットの行方を左右する試合になりそうだ。

LEONA、進化が問われる2年目に突入

プロレスラーとして進化が問われる2年目に突入するLEONA、 【中原義史】

 セミファイナルは「藤波辰爾&金本浩二&LEONAvs.NOSAWA論外&MAZADA&FUJITA」。注目すべきはデビュー2年目に突入したLEONAだろう。

 LEONAは2013年のドラディション11.19後楽園大会でデビュー。昨年末に1周年を迎え、真価が問われる2年目に突入した。昨年はドラディションのみならず、WRESTLE−1などにも参戦し、着実に成長を見せているが、LEONA本人が想い描く理想とはまだまだの状況だ。

 昨年のドラディション11.19後楽園大会では、大日本プロレスの関本大介とシングルマッチで対戦。ドラゴンロケットを初公開して場内を沸かしたが、関本を追い込むには至らず玉砕し、悔し涙を飲んだ。

 一時的なドラゴン殺法封印を宣言し、「藤波という名前を背負い、プロレスというジャンルを背負う。その覚悟がこの1年で固まりました。僕は逃げないで冒険します」と決意を新たにしたLEONAにとって、今回は大事な2015年初戦となる。

 偉大な父・藤波。かつてその藤波の付き人を務め、LEONAとタッグを組んだ経験もある金本。頼れる2人をパートナーに、LEONAはどんな自己主張を見せるのか。対する東京愚連隊は当然LEONAを狙ってくるはず。確かなテクニックとチームワークを武器にしているだけに、2年目の若手レスラーを翻弄するのはたやすいことだろう。しかし、それを突破しなければ、「藤波」という名前や「プロレス」というジャンルを背負うことなどできない。新春から自力初勝利を狙いたいところだが……。

魅力的なアンダーカードがズラリ

 アンダーカードにも魅力的な試合が組まれた。第4試合は「船木誠勝&カズ・ハヤシvs.ヒロ斉藤&AKIRA」。WRESTLE−1所属選手3人の中にヒロが加わったタッグマッチだ。新日本の1.4東京ドーム大会に出場して大きな歓声を集めたヒロは、WRESTLE−1の1.11後楽園大会にも参戦を予定。にわかに注目を集めている。実力的に考えれば船木&カズ組が優位だが、ヒロ&AKIRAは新日本時代にT−2000として共闘経験があり、ベテランらしいインサイドワークで挽回を狙ってくるだろう。ヒロ得意のセントーンは見逃せない。

 第3試合は「関本大介&高岩竜一vs.石井智宏&齋藤彰俊」。プロレス界屈指のパワーファイターによるタッグマッチだ。実はこの4人、2013年の1.13後楽園大会でも対戦している。その時は「関本&石井vs.齋藤&高岩」という組み合わせだったが、試合後に関本&石井が仲間割れを起こしていた。

 関本と齋藤は昨年2度一騎打ちを行っている。LEGEND THE PRO−WRESTLING1.13後楽園、プロレスリング・ノア10.18後楽園で実現したが、関本が2連勝。タッグマッチとはいえ、齋藤は虎視眈々と雪辱を狙っているはずだ。また、高岩と石井はかつてZERO1マットでNWAインターナショナルライトタッグ王座を保持していた、言わば元・盟友。それぞれの関係性の中で、4人の気持ちが交錯する好勝負になりそうだ。

 特に注目なのは石井。新日本プロレスの1.4東京ドーム大会で真壁刀義に敗れ、NEVER無差別級王者から陥落したばかり。リマッチも決定しているだけに、他団体での試合で勢いをつけたいところ。

 第2試合は「岡林裕二vs.ベアー福田」。今大会唯一のシングルマッチだ。大日本プロレス所属の岡林は、昨年1月のドイツ遠征で左肩を負傷。長期欠場を余儀なくされたが、12月に復帰。当初は苦しい戦いを強いられたものの急速度で復調し、今は欠場前の状態にまで回復している。大日本の2.2後楽園大会で石川修司の保持するBJW認定ストロングヘビー級王座挑戦が控えているが、福田も一筋縄ではいかない相手。第2試合にはもったいない肉弾戦が期待できそうだ。

 第1試合もオープニングマッチにはもったいない「長井満也&倉島信行vs.アレクサンダー大塚&スーパー・タイガー」のタッグ戦。実力者揃いの試合となったが、全日本プロレスの1.3後楽園大会でアジアタッグ王座を獲得したばかりの長井は最近充実したファイトを披露しており、この試合でも中心になりそう。そんな長井を崩しにいくのは、昨年の大晦日に両国国技館で行われた『INOKI BOM−BA−YE 2014』で橋本大地を劇的KOで下したスーパー・タイガー。当然、今年デビュー20周年を迎える大塚や倉島も割り込んでくることが予想されるだけに、激しい試合になりそうだ。

 注目のカードが並んだLEGEND THE PRO−WRESTLINGの2015年初戦。団体名の通り、レジェンドファイターたちが伝説に残る名勝負を繰り広げるであろう今大会から目が離せない。

(構成・文:村上謙三久)
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