東京五輪へ選手強化はどう変わる? 強化費増で地域スポーツにも恩恵
強化育成で成果を挙げる卓球では、平野美宇(左)、伊藤美誠らジュニア世代が躍進を見せている 【写真:ITTF via Action Images/アフロ】
競技団体ごとに行われる特色ある取り組み
実際に成果を挙げている例はいくつかあるが、例えば卓球はその筆頭と言えるだろう。かつて卓球王国と呼ばれ世界をリードしていた日本は、中国にその座を奪われて以降、1980年代後半から年代別の全国大会を設け、2001年には小学生のホープスナショナルチームを結成。長期計画のもと若い有望選手の強化育成に組織的に取り組んできた。そして、中学1年生から高校3年生のジュニアナショナルチーム、トップのナショナルチームまで継ぎ目のない継続強化をめざし、年代に幅を持たせて競争させる仕組みを構築。その結果、男女ともに選手層が厚みを増した。女子卓球界をけん引する福原愛(ANA)やそれに続く石川佳純(全農)、さらは平野美宇(JOCエリートアカデミー)、伊藤美誠(スターツ)らジュニア世代、すなわち東京五輪世代の成長には目を見張るものがある。
また今年6月、日本バレーボール協会から「Project CORE」という新たな強化プロジェクトが発表された。柱は日本バレーにふさわしい「指導方法策定」、バレーボール教室を拡充する「普及事業」、長身選手などをリクルーティングする「有望選手発掘」、東京五輪をめざす世代の「選手強化」の4つ。とりわけ東京五輪世代に至っては普段所属している高校や大学で試合がない時期にナショナルトレーニングセンター(NTC)での強化合宿に参加したり、国際大会に出場して多彩な経験を積むなどしながら国際競争力を磨いていく方針を打ち出している。