母子GI制覇へ!ブライトエンブレム=「マイルも行ける」母譲りの強心臓

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心臓の良さは母譲り

心臓の良さは母ブラックエンブレム譲りだ 【netkeiba.com】

 2戦目は、9月6日の札幌2歳S(GIII・芝1800m)へと駒を進めた。

「新潟というタイプでもないですし、間隔をあけてもいいと思っていたんですよ。あとは札幌を使うかどうかだったのですが、経験を積んだ方が良いので、札幌を使うために北海道に放牧に出しました。状態次第では札幌を使わないつもりだったのですが、放牧先に見に行くと大丈夫ということだったので、札幌2歳Sに出走させることにしました」

 調教を積む過程で筋肉痛が出たこともあった。だが筋肉痛が出るくらいに攻められた分、馬は動ける状態に仕上がっていた。また、心臓の良さもブライトエンブレムの特徴でもある。

「お母さんも心臓が良いと言われていましたし、多分、心臓が良い血統なのだと思います。ブライトエンブレムも、札幌2歳Sの前に、“心臓が良いですね、クラシックを狙っていっても良いんじゃないですか”と、獣医さんに言って頂きました」

 出負けして後方から進み、かなり外を回って直線に向いたにも関わらず、前にいた馬を一気に差し切ってみせたレース振りこそ、心臓の良さを物語っているように思う。

 札幌2歳Sの後は、定石通りに放牧に出た同馬の3走目が注目されたが、選択したレースは2000mのホープフルSではなく、マイルの朝日杯FSであった。

「クラシック路線に行くことを考えると、ホープフルSかなと最初は思いました。マイルの馬ではないとも思いましたしね。でもオーナーサイドと話をして、ごちゃつきやすい中山よりも、広い阪神の外回りの方が力が出しやすいという結論になって、朝日杯に出走することになりました。これが今の時点ではベストの選択だとも思っています」

馬のことを考えて選択した栗東滞在

 放牧先から11月6日に美浦トレセンに戻ってきた同馬は、11月21日には栗東に移動した。

「美浦からの直前輸送で競馬に臨んで、レース後すぐに十何時間もかけてまた美浦に帰る。馬にとってそれが辛いものだとしたら、その1回がトラウマになるかもしれないですよね。そのようなマイナス面を排除して、栗東で調整すれば、直前の追い切りの内容に関しても柔軟に考えられますし、レース後もこちらが希望すれば、また栗東に戻って、そこでゆっくりしてから美浦に帰ることもできます。その方が馬も楽でしょうしね。当然、コストがかかりますけど、それもオーナーサイドに理解して頂きました」

 環境にもすぐに慣れ、順調に調整は進んでいるが、懸念されるのは札幌2歳S以来の実戦ということだろうか。

「コンスタントに使ってきた馬の方が有利とも言えますけど、この子は新馬と久々の札幌2歳Sで勝っていますし、特に問題はないと思いますよ。今回もゆっくり時間をもらって、栗東でやりたい調整ができています。あとは出た結果を受け入れるしかないですよね」

 そして休みを挟むたびに「体も大きくなって、馬も良くなっています」と小島が言うように成長も見られる。

 最後に母を彷彿とさせる部分があるのかを尋ねた。

「兄のテスタメントの時は、写真を見せた人からは、ブラックエンブレムに顔が似ているねと言われたんですよね。言われてみれば似てるなと(笑)。ブライトエンブレムは目が三白眼で違うので、最初から似てるとは思わなかったのですけど、改めて写真を眺めると顔というより輪郭が似ているなというのはありますよね」

 気性面では、母とは違う面も見せている。「母はフラワーCを勝って桜花賞に挑戦する時に、場合によっては追い切りはやらないかもしれないという話をしたんです。なぜかと言うと、これ以上追い込んだら、将来の芽を摘んでしまうかもしれないと考えたからです。馬房でも思い詰めた感じでしたからね。

 でもこの子は、パッと乗った時に、我慢しているなと思う時があります。母と似ているところはあるのでしょうけど、それを全部出さずに抑えているんですね。ただ新馬を勝ち損ねたりして、余計にレースを使っていたら、この子もお母さんのような面を見せたかもしれません。そういう意味でも、使ったレースが少なくて無理をしていないというのは、この血統には良いことでしょうね。それもこの子が持っている運だと思います」

「マイルの馬ではない」と小島自身も考えていたようだが、12月5日(金)に栗東で跨った時に「これはマイルでも行けるかもしれない」という感触を得て美浦に戻ってきたという。札幌2歳S時よりも、馬が成長しているのは確かなようだ。長距離輸送の心配がない栗東での調整も抜かりなく進んでいる。母譲りの心臓で、最後の直線を力強く駆け抜ける姿を楽しみに待ちたい。(文中敬称略)

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