秋の神宮を彩ったドラフト指名選手たち 江越、山崎らが誓ったプロでの飛躍
決勝戦はオリ1位・山崎vs.阪神3位・江越
決勝では3得点に絡む活躍でチームを13年ぶりの日本一に導いた駒澤大・江越。阪神では打撃の確実性を上げ、自慢の長打力を生かしたいところだ 【撮影:高木遊】
明治大の先発マウンドに上がったのは、オリックスからドラフト1位指名を受けた山崎福也。日大三高入学直前に脳腫瘍を患うが、大手術の末復帰し、名門高のエースとなると、高校3年のセンバツで全国準優勝を経験。明治大では、現役最多となる東京六大学リーグ通算20勝を挙げ、堂々のドラフト1位指名を勝ち取った。今大会には大学野球生活の有終の美と、高校時代には果たせなかった日本一を懸けていた。
一方、駒澤大の4番は阪神からドラフト3位指名を受けた外野手・江越大賀。決勝戦はアマチュア野球ファンのみならず、プロ野球ファンにも注目の一戦となった。
試合は6回裏に動いた。2死二塁の場面で、ここまで山崎に2打数無安打と抑えられていた江越が打席に。ここで、明治大が江越に集中する隙をついた砂川哲平が会心の三盗に成功する。
「三塁に行けば、江越の走力が生きた内野安打も期待ができる」と話した砂川の期待に応えるかのように、江越が詰まらされたショートゴロに全力疾走。気迫のヘッドスライディングが相手一塁手の落球を誘い、駒澤大が先制。さらに8回裏には、山崎から代わった明治大の2番手・柳裕也から江越がセンター前へポトリと落ちる、2点タイムリーを放つ。
ともに会心の当たりではなかったものの、3得点に絡む活躍でチームを13年ぶりの日本一に導き、「(この4年間は)最下位となって1部2部入替戦を経験するなど苦しいことも多かったですが、最後にこうして優勝できて最高の気分です」と喜びを爆発させた。
準々決勝の中部学院大戦では、自身の盗塁からチャンスを広げ追加点を演出。また準々決勝と準決勝では、センターからのバックホームで2度の捕殺を記録。この強肩と俊足はプロ野球に進んでも間違いなく1軍即戦力レベルなだけに、あとは打撃の確実性を上げ、自慢の長打力を生かしたいところだ。
一方、敗戦投手となり、高校時代に続く全国準優勝という結果に終わった山崎は、決勝戦で7回3分の2を投げ、5安打8奪三振、自責点2という内容だった。試合後、善波達也監督は「よく投げてくれた。相手を抑えるピッチングはできていた」と労をねぎらい、山崎も「この4年間で、技術やマウンド上での強い気持ち、そのすべてでレベルアップできました」と振り返り、次なるステージでの飛躍を誓った。
不完全燃焼に終わったヤクルト2位の風張、中日2位の浜田
テークバックの小さなフォームで投げる変則左腕・浜田は初戦敗退。試合後、中日での活躍を誓った 【撮影:高木遊】
また、中日にドラフト2位指名を受けた左腕・浜田智博(九州産業大)は、初戦の中部学院大戦に先発。出どころの見づらい、テークバックの小さなフォームで投げる変則左腕は、6回まで左打者8人が並ぶ中部学院大打線を無失点に抑えるも、7回に3安打を浴び同点とされ、1点のリードを守れず降板。チームも延長10回タイブレークの末2対4で敗れ初戦敗退となった。試合後は自身の今後の活躍を誓うとともに、「今年の春・秋とこの神宮に来ることができて、大きな経験ができました。後輩たちにはまた、来年の春にここへ帰ってきてほしいです」と、好素材がそろう後輩たちへエールを送った。