三浦隆司、ロマゴン、亀田和毅ら防衛戦=11月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

世界戦3試合で7度のダウンを奪った強打

昨年大晦日以来の試合となるWBC世界スーパーフェザー級王者の三浦隆司が3度目の防衛戦に臨む 【花田裕次郎】

 WBC世界スーパーフェザー級王者の三浦隆司(帝拳)が22日、横浜国際プールで3度目の防衛戦に臨む。昨年は三浦にとって充実の年だった。4月に2度目の世界挑戦でガマリエル・ディアス(メキシコ)を9回TKOに下し、念願のベルトを巻くと、8月には敵地メキシコで1位のセルヒオ・トンプソンとのダウン応酬の激闘を3−0判定で制し、日本人選手では初の海外初防衛に成功。大みそかに2位のダンテ・ハルドン(メキシコ)を9回TKOで退けて、1年を締め括った。

 試合間隔が1年近く空くことになったが、ケガなどが理由ではない。この間に米国ラスベガスのリングに上がる話も浮上したが、結果的に流れてしまうなど、試合がまとまらなかった。ただ、もともと昨年は激戦が続き、ハルドン戦後の会見で浜田剛史・帝拳ジム代表が「丸2カ月はゆっくり休ませる」と話していたくらいだったから、三浦のダメージを抜く絶好の休養期間になったと、このブランクを前向きに捉えたい。メンタル面でも、試合に対する“飢え”がたまっている分、世界戦3試合で計7度ものダウンを奪った強打のサウスポーの爆発に期待が持てそうだ。

三浦の相手は左ボディがうまいメキシカン

ディフェンス面を進化させ、“ボンバーレフト”の異名を取る強打のサウスポーを炸裂させられるか!? 【花田裕次郎】

 三浦に挑むのは1位のエドガル・プエルタ(メキシコ)。4戦続けて、メキシカンを迎え撃つことになった。プエルタは24歳でプロデビューした遅咲き。6年前には3連敗を喫する苦境もあったが、2011年6月以降は負けなしの12連勝(7KO)。12年8月に世界ランカーを下してランク入りを果たすと、じわじわとランクを上げ、32歳で初挑戦のチャンスをつかんだ。左ボディがうまい典型的メキシカンファイターで、ショートレンジで強さを発揮する。距離が同じ三浦とは打ち合い必至と言えそうだが、長期政権を築くためにも、三浦は昨年のような消耗戦は避けたいところ。

 そこで、今回の三浦に期待したいのがディフェンスの向上だ。先日、WBC世界バンタム級王者・山中慎介(帝拳)の公開練習と同時間帯に行なわれた元2階級制覇王者のホルヘ・リナレス(帝拳)とのスパーリングでは、ヘッドムーブとサイドステップを繰り返し、たくみに接近戦を戦う三浦の姿があった。この成果を本番でも発揮できれば、被弾を減らすのはもちろん、相手のタイミングを外すことで、よりKOのチャンスも広がるはず。強打の魅力はそのままに進化した三浦を見てみたい。

ロマゴンが日本人キラー相手に防衛戦

八重樫との激闘の記憶が新しいWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレスは初防衛戦で“日本人キラー”ロッキー・フエンテスと対戦 【中原義史】

 三浦と同じ22日の横浜国際プールでは、9月に代々木で八重樫東(大橋)からWBC世界フライ級タイトルを奪ったローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が初防衛戦を行なう。40戦全勝34KOで3階級制覇を達成し、名実ともにフライ級戦線の中心となったロマゴンに挑戦するのは、ロッキー・フエンテス(フィリピン)。好戦的なファイターだが、44戦(35勝20KO7敗2分)のキャリアを生かした老練な試合運びも見せる28歳で、10年3月に大久保雅史(青木)から東洋太平洋フライ級タイトルを奪うと、数々の日本人挑戦者を退け、日本人キラーとしても知られる。

 今年1月には、後に井岡一翔(井岡)の挑戦を退けるアムナット・ルエンロエン(タイ)とIBF世界フライ級王座決定戦を戦ったが判定負け。代役出場で準備期間が短い中での初挑戦に続き、2度目の世界挑戦となる。八重樫戦の前には、ロマゴンのスパーリング相手を務めていた。漏れ伝わってくる力関係からも、ロマゴン圧倒的優位の下馬評は致し方ない。ただし、フエンテスは根っからの実戦派。軽量級最強と呼ばれる絶対王者に対しても、臆するところはないだろう。

1/2ページ

著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント