三浦隆司、ロマゴン、亀田和毅ら防衛戦=11月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

前日本Sバンタム級王者・大竹が英国で世界初挑戦

現地時間11月22日、英国で世界初挑戦となるWBA世界スーパーバンタム級のベルトに挑戦する大竹 【スポーツナビ】

 同じ22日(現地時間)には、英国リバプールで前日本スーパーバンタム級王者の大竹秀典(金子)がWBA世界スーパーバンタム級王者のスコット・クイッグ(英国)に挑む。大竹にとっては、初の外国人相手、初の海外試合と不安要素も少なくないが、33歳でつかんだ初挑戦のチャンスに「今のスーパーバンタム級は激戦区。断る理由はなかったし、海外挑戦できることに感謝している。記念挑戦のつもりはない。必ずベルトを獲ってくる」と燃えている。

 クイッグは29勝22KO2分と無敗を誇り、今回が5度目の防衛戦。ボディブローが得意なパワフルなファイターで、スタイルは大竹と似ているとも言える。前半を粘り強く戦い、後半に抜け出すのが大竹の持ち味。序盤の接近戦でいかに渡り合えるかがカギになるが、逆に言えば、そこは大竹の土俵でもある。「ポイントゲームではアウェイでは厳しい。後半に倒して勝ちたい」と大竹。日本人選手が欧州の地から世界のベルトを持ち帰った例はなく、勝利すれば史上初の快挙となる。

11.1に亀田和毅がV3戦、興毅が復帰戦

下田昭文と対戦経験のあるアレハンドロ・エルナンデスと対戦するWBO世界バンタム級王者・亀田和毅 【Getty Images Sport】

 1日(現地時間)には、アメリカ・シカゴでWBO世界バンタム級王者の亀田和毅が暫定王者のアレハンドロ・エルナンデス(メキシコ)と3度目の防衛戦を行なう。エルナンデスは昨年9月に来日。元WBA世界スーパーバンタム級王者の下田昭文(帝拳)に判定で敗れたが、スイッチを駆使するなど、元王者の手を焼かせた。その後、暫定タイトルを獲得し、このチャンスにつなげた。日本で試合巧者ぶりを存分に発揮したエルナンデスに対し、和毅は力を示すことができるか。

 その前座では、ライセンス問題が解決せず、国内での復帰目処が立たない亀田興毅のノンタイトル戦が組まれた。対戦相手のオマール・サラド(メキシコ)は経験豊富な34歳。最近は負けが込んでいるが、ロマゴンをはじめ強豪との対戦が多く、約1年ぶりの復帰戦で存在をアピールするには格好の相手と言える。

OPBFライト級王者・江藤が課題克服なるか!?

世界のフライ級戦線に名乗りを挙げるためにも“打たせず打つ”試合で勝ちたいOPBF東洋太平洋フライ級王者の江藤光喜 【Getty Images Sport】

 国内では、26日に東京・後楽園ホールで初防衛戦に臨む東洋太平洋フライ級王者の江藤光喜(白井)に注目したい。江藤は6月の王座決定戦でアーデン・ディアレ(フィリピン)に2度のダウンを喫し、明白なダメージが残る窮地から8ラウンドに3度のダウンを奪い返す大逆転KO勝ちで戴冠。後楽園ホールを沸かせたが、本人が「情けない試合」と振り返ったように、上を目指すには課題を残した。

 挑戦者のクリス・ポリーノ(フィリピン)は当初6月の決定戦に出場予定だった選手で、今回が仕切り直しとなる。昨年7月に来日し、日本ランカーを小差判定で下した試合を見た限りでは、待ちの姿勢からカウンターを狙うサウスポーで、好戦派の江藤にも難敵に違いない。現在、世界3団体でランクイン。非公認ながら敵地タイでWBA世界フライ級暫定タイトルを奪取した実績もある(日本では、正当な理由のない暫定タイトルを認めていない)。フライ級戦線に名乗りを挙げるためにも“打たせず打つ”試合を見せたい。

10年新人王の土屋vs原田は注目の一戦

 最後に、後楽園ホールで行なわれるノンタイトル戦からも、注目試合を紹介したい。28日には、10年の全日本ライト級新人王MVPで16勝14KO(3敗)の強打者・土屋修平(角海老宝石)と、フィリピン出身の元同国フェザー級王者・原田門戸(横浜さくら)が対戦。デビューから12連続KO勝ちで注目を集めた土屋だが、以降はここぞの試合で結果を残せていない。昨年、来日した原田は今年5月、東洋太平洋ライト級王者の中谷正義(井岡)に挑戦し判定で敗れたが、昨年、土屋に3ラウンドTKOで圧勝して急上昇した中谷を大いに苦しめた。フィリピン時代には海外遠征も数多くこなし、経験は土屋を上回る。現在のランクは土屋が日本ライト級11位、原田は同15位だが、互いにそのランク以上の能力を秘める。カウンターパンチャーの土屋と短躯のファイターの原田との再浮上を懸けた一戦は、見応え十分のスリリングな試合になりそうだ。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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