アギーレが語る日本代表ここまでの手応え リーガとの比較から見える世界との違い

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昨シーズンまでリーガで指揮していたアギーレ監督に、日本代表ここまでの手応えをリーガの記憶を交えて語ってもらった 【画像提供:WOWOW】

 リーガ・エスパニョーラのオサスナ、アトレティコ・マドリーなどを率い、世界の名将の仲間入りを果たしたハビエル・アギーレ監督。そんな彼が、日本代表監督に就任して約2カ月が経過した。

 リーガでは今週末にレアル・マドリー対バルセロナの“伝統の一戦クラシコ”という大一番が行われる一方で、日本代表はブラジルとの大一番に大敗(0−4)。監督就任以降1勝1分け2敗と苦しい戦いが続く。「毎日、個人的にも仕事面でも新しいことを学んでいる」と語るアギーレ監督は、ここまでの手応えをどう受け止めているのか。リーガの記憶を交えて心境を語る。

日本にはずる賢さが少し足りない

――監督に就任して2カ月経ちましたが、この2カ月をどのように評価されますか?

 毎日、新しいことを学んでいる。それは個人的なこともそうであるし、仕事面においてもだ。私はすべてのことにできる限り心を開いてきた。ただウルグアイ戦、ブラジル戦でよい結果を出せなかった。しかし全体的に見れば、うまく進んでいる。

――初期の段階で、ポジティブな点とネガティブな点を教えてください。

 私はJリーグからトータル18人の選手を呼んできた(編注:けがで辞退した昌子源を含めると19人)。彼らは私が知らなかった選手たちだ。ヨーロッパでプレーする選手やワールドカップ(W杯)に出た代表メンバーは知っていたが、Jリーグの選手は見たこともなかった。私が誇りに思うのは、その招集した18選手のうち4〜5人は、すでにレギュラーとしての位置を占めていることだ。3人は私のもとで代表デビューし、期待に応えている。

――日本サッカーの強い点と弱い点はどうでしょうか?

 私は(日本代表を)離れて見ていたとき、ラテン的なマリーシア、ずる賢さが少し足りないと感じていた。例えばコーナーキックの時、歩いてちょっと時間稼ぎをしたり、フリーキックの時、壁を作るときに距離を少し短くしたり、そういったことは毎週イングランド、ドイツ、スペイン、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンならどこでもやっている。それはレフェリーをごまかしたりとか、そういうものではない。有利な立場にするために必要なことだ。

 一方でJリーグのポジティブな点は、勝利を目指して戦っているということだ。例えば、ホームで2−0とリードしている状況で80分を迎えても、3点目を取ろうとしている。試合ではコントロールも大切だが、彼らはいつも勝利を目指している。

――1年後あるいは2年後には、どのようなチームをつくり上げたいですか?

 基本的にまずはアジアのタイトルが目標だ。その後は、FIFA(国際サッカー連盟)ランキング20位に近づくチームになることだ。チームは成長し、世界20位以内を目指していく。

香川は大きな伸びしろを持っている

香川について大きな伸びしろを持っていると評価したアギーレ監督。イニエスタと配給や純粋さで似ているとも語った 【画像提供:WOWOW】

――ブラジルW杯で、サッカーの傾向が変わったとも言われます。スペインのポゼッションサッカーが、よりプログラマティック(機械的)に変わった印象はありますか?

 サッカーは、チームにいるプレーヤーによるものだ。プログラマティックなサッカーをするには、そういうタイプの選手が集まっていなければならない。ドイツはそうだろう。しかし、ドイツはティキタカ(ショートパスを細かくつなぐポゼッションスタイルのサッカー)はできない。そのようなタイプの選手がいないからだ。南米の選手はできる。ポゼッションを続けてプレーしていく。アルゼンチンやコロンビアやエクアドルはそうだ。だから、変革の時とかそのようなものではない。

 スペインをモデルにしたサッカーは、これからも続けられるだろう。スペインはそのままそのスタイルを続けていくだろうし、続けるべきだ。

――日本はどのようなスタイルが近いでしょうか?

 プレーをするサッカー(ボールポゼッションを重視したサッカー)だ。それは選手のプレースタイルによる。中盤には小柄な選手がいて、とてもフゴーネス(創造的)だ。香川真司、柴崎岳、田口泰士は、ロングボールを放り込んで身体をぶつけ合うようなプレーは向かない。パスを回してプレーするスタイルだ。

――日本の雑誌では香川とアンドレス・イニエスタを比較していました。イニエスタはクラッキ(名手)ですが、イニエスタと香川は似ていると思いますか?

 香川はもっと早く見いだされても不思議ではなかった。ドルトムントに加わり、すぐに素晴らしい活躍をした。彼がイングランドに行ったとき、彼が爆発するまで時間が必要であったにもかかわらず、彼の進歩にブレーキをかけてしまった。彼はとても若く25〜26歳である。天性のタレントを持ち、試合に出ることによって毎週成長していくタイプだ。大きな伸びしろを持っている。

 イニエスタは別のスタイルを持っているし、世界チャンピオンだ。したがって比較することは不可能だ。しかし似ているところもある。配球や純粋さ、フェアプレー、そして体格的にも似ているかもしれない。

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