「いいことも悪いこともいい思い出」 =高橋大輔 引退会見一問一答

構成:スポーツナビ

流れのままに歩んだ競技人生

――振り返ってみて長い競技人生の中で一番の思い出は?

 あんまり過去というか、一つ一つ終わってしまえばすぐ次に向かっていたので、振り返ることはないんですけれど、何ですかね……ないわけではないのですが、すべてが思い出だったかなと。いいことも悪いことも自分にとってはいい思い出だったかなと。どれが一番というのは難しいかなと思います。

――競技人生の中で“選手・高橋大輔”としてこれは貫いてきた、こだわってきたというところは?

 こだわりは自分ではあまりないと思っています。流れのままに生きていくという。あまり強引に自分の思いを突き通すのではなく、受け入れて、それをやってみて決めるというスタンスだけは、自分の中で常々あって。人からいろんなものを吸収しようという気持ちだけは常に持って、競技人生をやってきたのかなと思います。あと、演技では独りよがりな演技をするのではなく、やはりコミュニケーションを大事にして、ひとつになるということを心掛けてきたかな。その2つくらいですかね。それもこだわっているというか、自然に、自分の性格なのかなと思いながらやってきたと思っています。

――今後のことは漠然としたものでも考えはあるか?

 あんまり、ですかね。これからアイスショーなどには出させていただくんですけれど、少し引いたところから考えたいというところで、何か縁があればやっていこうかなと。ただ、自分の中では1年、2年の間は少しスケートというものから2、3歩くらい引いた生活をした中で探していこうかなと思っています。自分がフィギュアスケートというものをどこまで好きなのか、どこまで情熱を持っているのか。今までずっと、目標が次から次に出てきたので、目標を定めるということを考えたことがなくて、今、本当に戸惑っている状態で。自分が何に情熱を持って生きてきたんだろうかと考えた時に、スケートだったんだと思ったんです。

 これが本当のことなのか、次から次に来るものを消化してきたのかも分からないので、ちょっと引いたところで生活してみれば、どこまでスケートが好きでいたのか、これを本当にやっていてよかったと思えたのかが分かると思うので、特にあまりはっきりとは決めずに、流れのままにいこうかなと思います。

――ファンの方へのメッセージを。

 ファンの方には、最後に引退という形で競技をお見せすることができなかったことをすごく後悔しているし、自分の中でも残念だなと思っています。スケートというものから完全に離れるわけではなく、皆さんの前で滑っていけたらなと思っていますし、いろんな形であっても、応援まではいかないですけれど「あんな選手がいたな」と、少しでも頭の片隅に置いていただけたらなと思います。もしかしたら違った形で出るか、それは僕自身も分からないんですけれど、そうなった時はどんな形であれ、もう1回、応援したいなと思ってくれるのであれば、また応援してもらえたらうれしいです。

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