高橋建が描く、カープ逆転Vへのシナリオ、「迷っている」前田健太の復活が絶対条件

ベースボール・タイムズ

追いかける立場は“好材料”

23年ぶりとなるリーグ優勝へ向け、ファンも声援で後押し。高橋氏は「今年は『優勝できるチーム』」と断言する 【写真は共同】

―――シーズンも残り1カ月を切りましたが、広島が逆転優勝するためのキーマンになる選手は誰でしょうか?

 ピッチャーでは、やはりマエケンでしょうね。彼の復活なくして、みんなが喜べる結果は出ないと思います。バッターでは、菊池涼介、丸佳浩がいますが、この2人以上に外国人選手に期待したいですね。手っ取り早く点を取れるのはホームランですし、前半戦の首位快走の立役者は言うまでもなくエルドレッドでした。キラも昨年ほどではないにしても数字は残していますし、ロサリオも頑張ってくれています。菊池、丸、そして外国人という打線の並びは機能しているので、あとは外国人の一発に期待したいですね。

―――激しい優勝争いの中、これからチームとしてどのようにして戦っていくべきでしょうか?

 単純に、その日その日の試合を、普段着の野球を続けていくことが大事になるでしょうね。とにかく今のチームは若さが武器なので、まずは一生懸命、グラウンドを走り回る姿を見たいですね。優勝経験がある人などは「ここからのプレッシャーは尋常ではない」と言いますが、その中で普段通りの野球を全うできるかどうか。それと同時に「怖いもの知らず」という言葉もあります。過去には、若さとその勢いのままで優勝したチームもありましたし、優勝を経験していなくても、若さならではのチームカラーで突き進んでいってほしいですね。

―――ジャイアンツが苦しみながらも6月8日から首位を守り抜いているという現実もありますが?

 僕の中では、カープが優勝する場合でも、独走して優勝するとはもちろん思っていませんでした。苦しみながらの戦いが続いて、そこで頂点が見える、という形を思い描いていました。そういう意味では、今年のペナントレースは、カープにとっては良い展開で進んでいると思います。僕が現役時代、ジャイアンツに11.5ゲーム差を逆転されたことがありました。その年、僕は前半戦ずっと2軍にいたのですが、途中で1軍に上がった時、チームは首位を独走しているのに、周りの選手やスタッフの形相が普通じゃなかった。すごく目が吊り上がっているような状態だったのを覚えています。そこまで追いつめられてしまったら、勝てないのではないかと思ってしまったぐらいです。それぐらい追われる立場というのは精神的にはつらいものです。逆に今の追いかける立場というのは、若いチームにとっては“好材料”と言えるのではないでしょうか。

今年は「優勝できるチーム」

―――好材料という意味では、残りのシーズンでマツダスタジアムでの開催試合が多い(11日現在、残り19試合中12試合が本拠地開催)。これは広島にとって有利になるはずですが?

 そうですね。やはりなんだかんだ言っても、ファンの声援や後押しというものは選手にとって力になるものです。ただ、ピッチャー目線で言えば、応援以上に相手へのプレッシャーの方がすごいと思います。甲子園などで、打たれて点を取られた時の地響きのようなファンの声援は、かなり圧迫感を感じたものです。あれは守っている方にしてみれば、相当なプレッシャーになりますからね。

―――さらにレギュラーシーズン最後の2試合が、マツダスタジアムでの阪神戦(10月1日)、そして巨人戦(同5日)となりますが?

 そこまで優勝争いがもつれれば面白い。どんな展開になるか非常に気になるところですね。普通ならその前には優勝が決まると思いますけど、最後にその2チームとの直接対決が残っているというのは、「何かあるのかもしれない」という気になりますね。

―――最後に、広島の23年ぶりのリーグ優勝の可能性は?

 解説者になって4年目になりますが、今年は「優勝できるチーム」だと思います。昨年は「貯金できるチームになった」と思ったけど、残念ながらそれはかなわなかった。それでも3位に入って初めてクライマックス・シリーズに出場できました。そこから選手層が厚くなって、今年はさらに強いチームになったと感じました。現実に今、優勝争いをしているわけですから十分に可能性はあります。今年はマツダスタジアムに来てくれるお客さんが多いし、カープが点を取ったら例年以上に盛り上がります。そういう“地の利”というものを最後まで生かしてもらいたいですね。

(取材・文:大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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