アギーレ流は頭と体の切り替えの速さ重視 多彩な戦い方で初陣ウルグアイ戦に挑む
すべての練習をコンパクトに素早く
「激情家」や「厳しい人」のイメージとは異なり、フレンドリーさを前面に押し出して合宿を行ったアギーレ監督 【写真は共同】
「厳しい監督と聞いていたので、壁を作るんじゃないかという印象はあったけど、自分から選手に近づいてきてくれるし、周りのスタッフにも気を遣ってくれる。本当に雰囲気を作ってくれていると思う」と長友佑都も笑顔で語っていたが、アギーレ監督の人柄に好感触を抱いた選手は少なくなかった。
トレーニングは1・2日目が公開された。この両日は所属クラブでの試合後間もないこと、欧州から移動してきた選手も多かったことから、フィジカル的な要素の強いメニューが多かった。
本田圭佑や長友、岡崎慎司ら2014年ブラジルワールドカップの主力が合流し、23人全員がそろった2日目は、チームを5グループに分けた4人1組のパス回しからスタート。4対1から4対2、6対4から5対5、8対8+4フリーマンから10対10、両サイドからのクロス&シュート、最後には5対5と、練習内容が2〜3分の間隔で目まぐるしく変化していった。トータルの時間は約1時間半だったが、選手たちは非常に多くのメニューを矢継ぎ早に消化した感覚だっただろう。
「すべての練習がコンパクトですね。アップから最後までダラダラせず、さっさとやるなと。それに切り替えが速いですね。一個のメニューをあまり長くやらない。『とにかく動いて』ってことは最初から最後まで言っていますし、『相手に的を絞らせないように速くプレーしよう』とも言われました」と3日目の後に離脱してしまった長谷部誠が話していたように、アギーレ流のトレーニングは頭と体の切り替えの速さを重視したものだとチーム全体が理解したようだ。
選手にプレーのこだわりを持たせる
アギーレ監督の練習は2〜3分の間隔で目まぐるしく内容が変化していき、頭と体の切り替えの速さを重視したものであった 【スポーツナビ】
「シュートを決めるか決めないかにはすごいこだわるなと。『1つ1つのシュートにこだわりをもって挑め』というメッセージはコーチングや指示から感じます。気の抜けたプレーなんかは激しく注意してくる。そこはすごく特徴的だと思いました」と吉田麻也も語っていた。そのあたりに「闘将」の一面が見て取れたのだろう。
そして、練習は3日目からは非公開へ。初日に「基本的に4−3−3でプレーし、試合開始1分から90分までしっかり戦う。しっかり走って、いいプレーをして勝つことを目指す」と明言した通り、指揮官は4−3−3を軸にしつつ、いくつかの基本コンセプトを植えつけた模様だ。
「2〜3日の間だったんで、約束事を詰め込むだけ詰め込んだんですけど、本当に最低限。コンパクトに保つこととか、切り替えをとにかく速くしないと相手チームは速いぞというところとか、そういうことを言われたんで、バランスが大事だと。自分から声を出さないと周りも分かりにくいし、とにかく喋ってコンパクトに保ってって感じですね」と田中順也が言うように、そこまで決まり事でがんじがらめにされたわけではないという。大迫勇也などは「(アルベルト・)ザッケローニ監督の時は動きが限られていたけど、比較的自由なのかな。前はあんまり引いてくるなと言われたけれど、今はサイドに流れることも要求されるし、結構自由な感じかな。前でずっと張っているよりその方が自分に合っている」と大いに歓迎していた。