柿谷移籍のバーゼルは「群を抜いた存在」 日本でも注目集めるスイスリーグとは?
現在5連覇中のバーゼル。スイスリーグでは「群を抜いた存在」として頂点に君臨する 【Getty Images】
昨季はCLでチェルシーに2勝
すでに練習に合流している柿谷(写真)も「バーゼルのサッカーは魅力的」と語る 【Getty Images】
そのため今季一番の注目はやはり、「バーゼル6連覇なるか」ということになる。『バーディッシュツァイトゥング』紙のバーゼル担当ヴィンフリート・ディーチェ記者に話を聞いたところ、「バーゼルはスイスではもはや別格の存在だ。欧州チャンピオンズリーグ(CL)でも結果を残しているし、若手の成長もある。金銭面でも群を抜いているしね」とその特別な立ち位置を説明してくれた。地元紙『バスラーツァイトゥング』は「ライバルなど存在せず、最低でも勝ち点10差をつけて優勝する」と豪語。しかしそれが許されるくらいの力関係があるのも事実だ。入団会見で柿谷も「バーゼルのサッカーは魅力的だったし、このチームの一員になれることが自分にとってプラスになると思った。これだけ常に優勝できるチームというのは、一体どういうチームなのかとすごく興味がありました」と驚きを口にしていた。
とはいえ、柿谷自身が「スイスリーグのレベルが低いとは思っていない」と強調したように、他のクラブが弱いわけではない。他クラブにもいい選手や監督がいる。ただデイーチェ記者の言うとおり、スイスにおける今のバーゼルは「群を抜いた」存在なのだ。昨シーズン、バーゼルの年間売上高は8800万スイスフラン(約98億円)。これは2位ヤングボーイズ・ベルンの約2倍、昨季9位FCアーラウの約17倍に当たる額だ。これだけクラブとしての基礎体力・単純な戦力差があれば、優勝は義務と考えられてしまうのも当然だろう。事実、前監督ムラト・ヤキンは就任2年でリーグ2連覇を達成。また決勝トーナメント進出はならなかったとはいえ、昨年のCLグループリーグではチェルシーに2勝という素晴らしい結果を残した。
5連覇にも満足せず、新しい風を求める
そうした会長の期待とともにやってきたソウザ。監督としてはビッグクラブ初挑戦となるまだ若手の1人だが、これまでの仕事ぶりへの評価は非常に高いものがあった。イングランド2部リーグのレスター・シティではわずか3カ月で職を失ったが、元スイス代表ブルーノ・ベルナーは「彼にはとてもはっきりとしたビジョンがあり、戦術的なことを本当にたくさん教えてもらった。サッカーを隅々までよく知っていて、どんな挑戦にも立ち向かい、成功に向けて努力を惜しまない人だ。それに彼は人をとても大切にする人なんだ」と『バスラーツァイトゥング』のインタビューで称賛していた。
今季開幕のアーラウ戦では2−1と勝利は収めたが、直前に試用した3バックを導入するなどまだ試行錯誤中という印象を与えていた。元スイスU−21代表DFタウラント・ジャカが「監督には確かな哲学がある。これまで以上に攻撃的なサッカーをしようとしている」と話すように、選手はソウザを支持しているものの、主力の多くがW杯出場で合流が遅れており、チーム作りが順調というわけではない。それでも、スポーツディレクターのゲオルグ・ハイツが「新しい監督と選手たち。彼らはまず自分たちの居場所を見つけなければならない。そしてそのプロセスは今日・明日ででき上がるものではない」と話すように、時間をかけて作りだそうとしている。