柿谷移籍のバーゼルは「群を抜いた存在」 日本でも注目集めるスイスリーグとは?
切り札として期待される久保裕也
開幕戦で早速ゴールを決めるなど、ヤングボーイズに所属する久保(写真)は、切り札として期待されている 【Getty Images】
バーゼルが強いからと簡単に優勝をプレゼントするつもりはどのクラブにもない。どこも全力で試合に挑む。その中で特にバーゼルと対抗しうる可能性があるのは昨季2位のグラスホッパーと3位のヤングボーイズ。グラスホッパーは得点王のシュケルツェン・ガシィをバーゼルに奪われてしまったが、それでも経験豊富なミヒャエル・スキッペ監督は卓越した分析力とそれを練習に落とし込む腕を持っている。入念な準備で、バーゼルを苦しめる戦いを見せるはずだ。選手では元ACミランのFWアレクサンダー・メルケルに期待が高まる。
一方、久保裕也所属のヤングボーイズは、昨シーズン3位という好成績の後でも監督のウリ・フォルテは「重要なのはタイトルではなく、自分たちの仕事ぶりだ」と語っていたが、2012年にスポーツディレクターのフレディ・ビッケルが「3年以内にタイトルを獲る」と宣言しており、「昨季以上の成績を」と意気込んでいる。
久保はそのチームで切り札として期待されている選手だ。フォルテも「運動量が多く、すばしっこい。良いシュートを持っていて、何より戦術理解が素晴らしい」と褒めている。守備にまだ課題があると指摘されているが、すでにスイスリーグの中で最も将来性のある選手のひとりとして注目されている。また『ベルナーツァイトゥング』紙によると地元記者のインタビューには既にドイツ語で答えているという。今季開幕戦では先発フル出場を果たし、早速同点弾となるゴールも決めた(結果は2−2)。主力としての活躍に期待したい。
王者としての慢心を一切見せず、さらなる高みを目指すために、あえて完成していたパズルを崩したバーゼルとその隙を逃さんとする他クラブという図式。ひょっとすると今季のスイスリーグは非常にスリリングなシーズンになるのかもしれない。