船木と藤原組長の間にある数奇な運命… 7.2リアルジャパンプロレス見どころ
船木と藤原組長が23年ぶりに激突!
91年7月の藤原組以来、23年ぶりに激突する船木(左)と藤原組長(右) 【(C)リアルジャパン】
<第6試合 ダブルメイベント2 タッグマッチ 60分1本勝負>
初代タイガーマスク、船木誠勝(WRESTLE−1)
藤原喜明(藤原組)、グレート・タイガー(国籍不明)
船木は新日本プロレスに入門後、藤原に師事。船木が歩む方向性を作った存在が藤原と言える。その後、船木はまるで藤原の後を追うように、新生UWF、プロフェッショナルレスリング藤原組でも行動を共にした。91年7月に藤原組初のビッグマッチ、東京ベイNKホール大会で2人は激突。打撃で攻め立てた船木だったが、最後は藤原が腹固めで逆転勝利を収めている。しかし、これが最後の対戦となる。
翌年、師弟関係の間に変化が起こった。総合格闘技志向が強まった船木は1992年12月に鈴木みのるらとともに藤原組を離脱し、翌年パンクラスを設立。両者は袂を分かつ形となった。
船木はパンクラスのエースとして活躍したものの、2000年に引退。12月4日に日本武道館で行われた引退セレモニーには、藤原や初代タイガーマスク佐山サトルも来場している。
2007年、船木は総合格闘技で現役復帰。2009年8月からはプロレスラーとしての活動も再スタートさせた。藤原と同じ大会に出場する機会はあったものの、リングに並び立つことはいままで実現せず。プロレス・格闘技界の荒波の中で必死にもがいてきた船木と、弟子たちとの別れを経験しながらも、あくまで飄々(ひょうひょう)と生き抜いてきた藤原が、いよいよ23年ぶりに今大会で対戦する。
子供の頃から憧れた初代タイガーと昨年ドラディション興行にて初対戦した時は「向かい合った瞬間動けなくなった」と語っていた船木だったが、藤原との邂逅(かいこう)はそれ以上に大きな意味を持つ戦いになるだろう。記者会見では「23年、いろいろありましたが、またここで闘うことになったのも、これもひとつの運命と思って。一番最初に新日本に入ったときのプロレスの先生ですね。どうすればいいのか教えてもらった、そういう気持ちをもう一回思い出して、いち生徒としてぶつかっていきたいと思います」と初心に返り、真っ直ぐな気持ちで胸を借りるつもりだ。
対する藤原はどこまでも自然体。「23年前は覚えてないですね。老化現象だと思いますけ。今朝の朝飯を食ったかも覚えてないんでね。ボケが始まってるのかと思います」と煙に巻くと、「ボクはただ一生懸命やるだけです。話がヘタなんで、とにかく一生懸命やりたい。昔の船木とは違いますんで、頑張りたいと思います」と淡々と語っている。
当然、この試合で一番の注目は藤原と船木の絡み。実際に対峙した時に両者はどんな表情を見せるのか。そして、どんな攻防を繰り広げるのか。興味は尽きない。特にグラウンド戦は見逃せない場面になるだろう。
初代タイガーと藤原の因縁が再燃する可能性も…
3度目のタッグ結成となる初代タイガー(右)と船木 【t.SAKUMA】
初代タイガーと船木のタッグは、昨年の9.28リアルジャパン後楽園大会、今年のドラディション5.11後楽園大会に続き3度目となる。信頼関係が強く、ストロングスタイルへの思いも共通する2人のチームワークはさらに進化しているはず。そんな連係の流れに乗って、好調を維持している初代タイガーの方から藤原を挑発していく可能性もある。ある意味、この試合の鍵を握っているのは初代タイガーだと言えるだろう。
そんな因縁からひとり外れるグレート・タイガーの存在も不気味だ。昨年末に初代タイガーを担架送りにするという衝撃的なデビューを果たしたものの、4.16代々木大会でのスーパー・タイガー戦では一方的に攻め込みながら、丸め込みでレジェンド王座奪取に失敗しており、フラストレーションも溜まり、虎視眈々と主役取りを狙っているはず。全ての絡みに意味のある試合になりそうだ。