アクシデントではなかったスペインの敗退 W杯で見た悪夢を新たな成功の糧に
老いてしまったスペインフットボール
2連敗でのグループリーグ敗退は、もはやサプライズではなかった 【写真:ロイター/アフロ】
スペインのフットボールは老いてしまった。年齢のことを言っているのではなく、ポテンシャルがなかったわけでもない。だが既にチームはピークを過ぎ、下り坂の時期を迎えていた。多くの識者や大半の主力選手たちはその事実を認識できぬまま、もしくは認めようとせぬまま、ワールドカップ(W杯)を迎えてしまったのだ。
この数日、スペインメディアは代表の平均年齢が大会全体の出場選手のそれとほぼ同じだったこと、ベースキャンプ地クリチーバの気温が涼しすぎたこと、ビセンテ・デル・ボスケ監督が選手間に何1つ問題がないと考えていたことなどを盛んに報じている。だがそれらの報道はいずれも、最も基本的なことを説明できていない。
固執しすぎたポゼッションスタイル
だがグローバル化が進むこの時代、対戦相手の研究は進み、戦術やテクノロジーが進化し続ける傍らで、年齢を重ね、ショーケースに並ぶトロフィーの数を増やしてきた選手たちが常に結果を出し続けるのは難しい。
近年スペインのベースとなってきたバルセロナが昨季に直面したように、既にスペインは多くのライバルによって対策法を確立されている。にもかかわらず、彼らはFWを使ったプレーは好まず、ゴール前にスペースが生じるまで中盤でボールを回し続けるプレーに執心してきた。
その結果、W杯予選の頃から既にスペインのゴール数は低下し、ほぼ常にゲームを支配しながらゴールチャンスをほとんど作ることができなくなっていた。しかも前線からのプレッシングが機能しなくなったことで、ライバルは以前より容易に最終ラインから攻撃を組み立てられるようになった。
決勝でブラジルと対戦する青写真を描き、確固たる自信を抱いて14年を迎えたスペインだが、その後は描いていたシナリオとは異なる出来事が相次いだ。昨季最高のパフォーマンスを見せていたビクトル・バルデス、シャビ・エルナンデスの代役となり得たチアゴ・アルカンタラはけがで出場が叶わず、ブラジルとの争奪戦を制したジエゴ・コスタの招集もけがで計算が狂った。いずれにせよ、スペースのない状況からの遅攻を強いられるのが常のチームにおいて、カウンターと肉弾戦向けのFWである彼をどう生かしたかったのかは今でも理解できないことだ。