東海大、原貢氏にささげる涙の日本一=全日本大学野球選手権・総括
4度目の日本一を決め横井監督を胴上げする東海大ナイン 【写真は共同】
変革をきっかけに力を培った王者、準優勝チームを支えた3年生主将と仲間たちの思い、大会を沸かせた選手たちなど、全国から集まった26大学が日本一を懸けて戦った6日間を振り返る。
全国制覇へ導いた原貢氏の教え
今大会はユニホームの袖に喪章をつけて戦った。そんな東海大の選手の中でも、「特に原貢監督への思いが強い」と横井監督は話すのが、東海大相模高の出身選手たち。3番・捕手の大城卓三(4年)は、決勝でのタイムリー2本を含む15打数8安打の数字を残し、最高殊勲選手賞と首位打者賞に輝いた。「貢さんからは、センター返しの打撃など基本の大切さを教わりました。言ってもらったことが結果につながった」と噛みしめるように話した。
リーグ戦の制度変更でたくましくなった投手陣
「投手を育てるために、(試合の中で)引っ張ることをしなくなった。勝つためにはすぐに代える」
リーグ戦同様、主に先発を担ったのが吉田侑樹(3年、大阪・東海大仰星高)。高校時代から体が一回りも二回りも大きくなり、「これだけの投手になるとは」と関西地区のスカウトから驚きの声が挙がった吉田。大学で合宿所に入り、「吐きそうなくらい食べるようになりました」と食生活の変化を話す。今大会は3試合20回を投げて、防御率0.90の成績を残し、最優秀投手賞を受賞した。
リリーフとしてマウンドに上がり、胴上げ投手となったのは芳賀智哉(3年、福島・聖光学院高)。聖光学院高では歳内宏明(阪神)と同学年で、主に野手と控え投手をしていた。先発投手の残像を生かしたチェンジアップは、「対策をしていても打てない」と相手打者が話すほどのキレがある。大阪体育大戦でのロングリリーフなど、3試合13回を投げて、1点も失わなかった。
横井監督とボールを受けた大城卓が「吉田と芳賀がここまで投げられるようになるとは」と声をそろえるほどの成長を見せた。リーグ戦での大胆な継投策で、これまでの東海大とは違う形で投手がたくましくなった。