大瀬良大地が持つ、田中将大らと同じ感覚 北別府学が認めるエースの資質

ベースボール・タイムズ

カープ“3文字エース”の後継者として

「カープのエースになれる投手」と北別府氏。大瀬良にとって、広島の暑い夏を乗り切れるかが今後のポイントになりそうだ 【写真は共同】

――将来のエースとして期待される大瀬良投手ですが、広島には北別府さんも含めて、長谷川(良平)、安仁屋(宗八)、外木場(義郎)、佐々岡(真司)と苗字が3文字の投手が活躍し、いわゆる“3文字エースのジンクス”があります。

 はいはい、ありますね(笑)。僕がカープに入団した時点で、すでに長谷川さんと外木場さんが実績を残されていましたから、周りから「3文字だから大成するだろう」と言われましたよ。本人は結構プレッシャーがかかるんですけどね……(苦笑)。ただ、それをずっと意識してやっていたかと言われれば、そうではないですよ。プロに入って最初のころは目の前の試合のことで精いっぱいでしたし、何年か経って、ある程度ちゃんとした成績を収めることができてから、「あぁ、そういえば“3文字”って言われとったなあ」と、結果的に「3文字で良かったなあ」と思ったぐらい。これだけ3文字のピッチャーがチームの中心として活躍してきたので、何かがあるのかもしれませんね。

――大瀬良投手も“カープ3文字エース”の後継者になりますが?

 そうなりますね。本人もそういう話は耳にするでしょうけど、良い方に考えればいいんですよ。「あ、そうか! カープの3文字は大成するんだ!」とプラスに考えておけばいい。カープに指名されて入団したのも「そういう因縁があったんだ!」って思えばいい。3文字だということをプレッシャーに感じることはないですよ。

――大瀬良投手がこれから広島のエースになるためにすべきことは?

 今年に関しては新人ですから、本人もとにかく目の前の試合を頑張るしかないと思っているでしょう。このままいけば新人王もありますから、ぜひとも獲ってほしい。それに、まだ22歳。変に小さくまとまるのは良くない。150キロ以上のストレートを投げられるんだから、そのストレートをもっと磨いて、特に若い間はあまり変化球に頼らないピッチングをしてほしいですね。持っている能力は間違いなく高い。カープのエースに上り詰めていくことができる投手だと思います。
――交流戦を経て、これから梅雨の時期に入ります。大瀬良投手が今後、気をつけるべきはどういったところでしょうか?

 開幕から2カ月が経ちますが、大学時代はこれだけ長く真剣勝負が続くことはなかったでしょうから、どうしてもペース配分という面での心配はありますね。雨天中止で登板が流れた時の調整、経験も少ないでしょうし、梅雨が明けた後の広島の蒸し暑さというのも初めて味わうでしょうからね。『瀬戸内の夕凪』というぐらいで、試合が開始されてから7時半から8時ぐらいまで風が吹きませんからね。大変なんですよ、広島の夏は……(苦笑)。1年、2年やってみれば「あぁ、広島ってこんな感じか」というのが分かると思うんですけどね。

――梅雨から夏場の時期を乗り切るためのポイントは?

 まだ涼しい今の時期に走っておくことですね。6月ぐらいまではキャンプで作ったスタミナがもつんですけど、それ以降というのは5、6月に走っておかないとバテてしまう。ですので、梅雨の時期までにしっかり走り込んで、いかに夏バテしないか。そこが今後の彼にとっての一番のポイントになるでしょうね。

――大瀬良投手が“広島の夏”を乗り越えて白星を2ケタに乗せていけば、チームとして23年ぶりの優勝という大目標へとつながるはずですが?

 そうですね。大瀬良に加えて、野村(祐輔)や九里といった若い投手が勝ち星を増やせれば、優勝も見えてくるでしょう。ポイントは交流戦です。連敗スタートにはなりましたけど、五分でいいんですよ。この交流戦を勝率5割で乗り切ることができれば大きく前進します。

――最後に、大瀬良投手に今、声を掛けるとすれば?

 シーズンの中で必ず勝てない時期というのが来るものです。さっきも言ったように、今のうちにしっかり走り込んでおくこと。いろいろと初めての経験が多くなるでしょうけど、僕たちOBの経験もどんどん使っていけばいい。とにかく広島の夏は暑いですから、「しっかり走っとけよ!」とだけ言っておきましょう。

(取材・文:三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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