クルム伊達「相手が嫌がるテニスを」=全仏オープン直前インタビュー

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43歳のクルム伊達公子が全仏オープンに挑む 【写真:AP/アフロ】

 フランス・ローランギャロスで25日に開幕するグランドスラム第2戦「全仏オープンテニス」。43歳になった今も、不屈の精神でチャレンジを続けるクルム伊達公子(エステティックTBC)が出場する。4月にメキシコで行われたモンテレイ・オープンでは、1回戦で第1シードのフラビア・ペネッタ(イタリア)、準々決勝では第8シードのモニカ・プイグ(プエルトリコ)とシード勢を次々と破り、ベスト4に進出した。準決勝で惜しくも敗退したが、チェコのカロリナ・プリスコバと組んだダブルスでもベスト4まで進むなど、現在でもトップレベルでテニスを続けている。
 最も華麗で、最も過酷なトーナメントといわれる「全仏オープンテニス」。その開幕を前に、クルム伊達に独占インタビューを行った。

物足りなさを感じる今シーズン

――現時点での今シーズンの自己評価は?

 テニス自体がすごく悪いわけでもないですが、すごく良いわけでもないという状態が続いています。悪いことではないのですが、自分の中ではちょっと手応えが感じられない。調子が悪いわけではない、悪いから何かしないといけないというわけでもない。すごく良いから手応えを感じて試合に入れるわけでもない。いつも何かちょっと物足りない感じの中で戦っている状況です。

――1月のパタヤ・オープンでは、ガルビネ・ムグルザ・ブランコ選手(スペイン)、モンテレイ・オープンではペネッタ選手といった世界ランキング10位〜30位台の選手にも勝ってきています。良い結果が出ていると思いますが、いかがですか?

 これまでは大会に入る前に、『なんか今回は調子良いな』とか、体調が良ければ『なんとなく手応えがあるからいけるかも』、といった自分自身への期待感の中で大会に入ることがある程度ありました。
 でもそういう感覚まではいかない。いつももうちょっと、もうちょっと何かがと思う中で、試合に入っていくことが多いです。でも、かといって何かが悪いというわけでもない。そこがもう一つ物足りない部分につながっていると思います。何か際立つものが見えない感じです。

――2008年4月に復帰会見をされて、7年目のシーズンを迎えました。もう7年目なのか、やっと7年目なのか。ご自身ではどう感じられていますか?

 『もう6年もやったの!? 』という感じですね。まさかの6年でした。年月という意味でもそうですし、6年なんだかんだ言いながら、グランドスラム出場を続けることもできています。それができているのも、冷静に考えれば自分でも奇跡と言っていいんじゃないかな、と思っています。自分の気持ちがそれだけ続いていることも、体がもったこともそうです。
 ツアー中は、当たり前のように、若い選手と同じくもがいているため思いませんが、よくこの場所にいられたと思います。あと一つは90年代のキャリアが8年なので、それに近づく年数をやっているかと思うと、自分でもさらにすごいと驚きますね。

「潔く諦めることで長く続けられる」

――今の一番の悩みはなんですか? それを解決するために取り組んでいることは?

 悩んでいることは、せっかくケガしなかったのに、最近続いたので、どうケガをしないのか、そこに尽きますね。

――具体的な対策や欠かせないこと、これだけはやっておかないといけない、重要なことは?

 やれることは常にどれもこれもやっているので、今あらためて新しいことというのは、限られてきます。回復力が高まることも期待できないですし、科学的にやっても限界はあるので、基本的にはできるだけコートの中でエネルギーを使う。
 本当に栄養面と自分の体のケアと、自分の体と常に向き合い、そこにより早く自分の変化をキャッチするということを心がける。ケガはしましたが、3、4週間まったく動けないということではなくて、小さいケガでとどめられています。

 ある程度体の変化に気づいた時は、潔く諦める。諦めることが、テニスを長く続けられることにつながるので、ケガをしない体というのは若い選手でも無理ですから、今の私の年齢を考えるといかに最小限にとどめるか、そこに気をつけないといけないと思います。

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