カープ23年ぶりVへ 広島の街は本気 取り戻しつつあるスポーツ王国の誇り
優勝へ、本気度が違う広島の街
山本浩二監督(当時)が広島市民球場で胴上げされて23年。悲願の「カープ∨」へ広島の街は本気になりつつある 【写真は共同】
昨シーズン、97年以来となるAクラス入りを果たし、球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出を果たした広島東洋カープ。CS第1ステージでは、2位の阪神に2連勝。ファイナルステージでは巨人に敗れたものの、その戦いぶりから、今季は23年ぶりの“リーグ優勝”という声が、あちこちから聞こえるようになってきた。
昨年までは、軒並みBクラスが定位置だった開幕前の順位予想も、今年はほとんどの評論家が3位以上と予想。さらに優勝予想でも地元では春の風物詩となっている安仁屋宗八氏に加え、複数の評論家がカープを推している。広島では正月のカープ関連の特別番組や、タウン情報誌などにも「優勝」の2文字が目に付くようになった。もちろん、これまでも建前上は、その2文字を口にはしていたが、今年の場合は、明らかにその本気度が違っている。
充実の投手陣と激しくレギュラーを争う野手陣
その原動力となっているのが、投手陣の充実ぶりだ。チーム防御率はリーグトップの3.18。同2位の巨人は3.99、その他の4球団は全て4点を超えており、リーグ断トツの投手陣と言える。大竹寛が巨人にFA移籍して不安視された先発陣は、大瀬良、九里亜蓮のドラフト1、2位コンビが開幕から先発ローテーション入り。さらに懸念されていた左腕不足も、7年目の篠田純平が2年ぶりの勝ち星を挙げるなど、安定した投球を見せている。リリーフ陣もリーグトップの9セーブを挙げているミコライオを中心に、大竹の人的補償として加入した一岡竜司がセットアッパーとして13試合で防御率0.00。6年目の中田廉も10試合連続無失点、昨季復活したベテランの永川勝浩らと終盤の必勝パターンを形成している。さらに2軍には今井啓介、福井優也、新外国人のフィリップスらが控えており、バックアップ体制も万全だ。
打線では、来日3年目を迎えたエルドレッドが4番に定着し、打率はリーグトップの3割7分5厘、10本塁打(リーグ2位)、32打点(同2位)と覚醒。昨季後半、快進撃の原動力となったキラが死球の影響で離脱すると、ドミニカ・カープアカデミーから入団したロサリオが、打率3割を超える活躍を披露。“聖域”と言われた堂林翔太もスタメンを外れる機会があったサードと、膝に不安を抱える梵英心のショートには、木村昇吾、小窪哲也、ルーキーの田中広輔らが、激しいポジション争いを繰り広げている。堂林はライトで起用されることもあり、廣瀬純や松山竜平など、実績のある外野手でも、決して安泰ではなくなっている。(今季の成績は全て5月4日現在)