カープ打線が秘める可能性 開幕シリーズから考察する理想の布陣は?

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打線の“顔”の一人、丸がリードオフマンとして今季もチームをけん引する 【写真=BBM】

 赤ヘル打線の可能性を徹底検証する。昨季からの補強はルーキー・田中広輔と新外国人のロサリオのみ。戦力的な大きな上積みはないものの、クライマックスシリーズ(CS)進出で「経験」を得たカープナインが、23年ぶりのリーグ優勝へ向けて、どのような戦いを見せるのか。注目選手とともに、開幕3連戦から今後の可能性を探っていく。

“キクマルコンビ”でさらなるチャンスを

開幕戦では同点2ランを放ったキラ。チャンスを「決める」と「広げる」を兼ね備え、4番に座る 【写真=BBM】

 今季の打線の“顔”となるのは、丸佳浩、菊池涼介、キラ、梵英心の4選手だ。
 まず、昨季初の盗塁王に輝いた丸と、球団記録を更新する50犠打をマークした菊池のリードオフコンビ。1番を任される丸は左打席からの巧打もさることながら、特筆すべきはその選球眼で、昨年はチームトップの85四球を選び、チャンスを演出した。続く2番の菊池はパンチ力あふれる打撃も魅力なものの、まだまだ粗削りな面が否めない。121三振は昨季リーグワースト2位で、四球はわずか38。確実性を高め、さらなるチャンスを演出することが求められる。

 4番には昨季途中に加入したハワイアン大砲・キラが座る。日本デビュー戦から3試合連続で本塁打を放ったパワーに加え、選球眼も良く昨季の出塁率は3割6分2厘。「決める」と「広げる」を兼ね備えた助っ人だ。

 そして、梵は昨季、規定打席未到達ながら、100試合以上出場選手で唯一打率3割を超えた。選手会長に就任した33歳は「とにかく優勝したい」と、誰よりも優勝への意気込みが強い。開幕3連戦ではキラ、エルドレッドの助っ人2人をつなぐ5番を任されたが、どの打順でも与えられた役割を果たし、攻守の精神的支柱としての働きが求められている。

3番打者が今季の打線のカギを握る

週刊ベースボール編集部が開幕シリーズから考察したベストオーダー(拡大してご覧ください) 【写真=BBM】

 開幕3連戦の打撃オーダーからは、「不動」と「流動」の選手がはっきりと見て取れる。1、2、4〜6番の5人は固定。投手を除く残りの3人を相手投手とラインアップによって組み替えた。

 昨年から1、2番でコンビを組む“キクマルコンビ”は今季も健在。丸は3試合で3安打4四球と出塁率5割。菊池も3犠打できっちりとチャンスを演出した。しかし、3番に入った松山竜平、廣瀬純の2人が3試合でわずか1安打の拙攻。結局、丸は1度もホームを踏めず、チャンスを生かし切ることができなかった。後ろには4番・キラが控えるだけに、相手投手に重圧はかかっていたはず。だが、早打ちであっという間に凡退と、冷静さを欠いた場面が幾度も見られた。梵を助っ人の間に置いてつなぎを生むためにも、3番に座る打者には冷静な状況判断が必要となる。

 また、開幕戦ではキラの同点2ラン、第2戦ではエルドレッドの2発が飛び出し、「助っ人2人布陣」がピタリとハマったが、「左翼・エルドレッド」には危険も伴う。僅差の試合では守備固めを投入するのか、もう1点を取りにいくのか、正しいベンチワークが求められるからだ。助っ人2人を起用して攻めの姿勢を見せるのであれば、三塁は守備力が高い木村昇吾と小窪哲也を相手によって使い分けたいところだ。それぞれ限られた出場機会ながら安打をマークするなど、攻守に仕事を果たした。

 選手の個性として「攻」と「守」を明確にし、そこで力を発揮できない選手には決断が必要となる。2、3戦目で堂林翔太がベンチを温めたように、己の役割を把握し、全うしなければいけないはずだ。

■結論
・“キクマルコンビ”は固定せよ!
・「攻」と「守」を明確に!
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