羽生「胸に金メダル、誇らしい」=ソチ五輪日本選手団 帰国会見
平昌では、フィギュアスケート団体でもメダルを
次回2018年平昌五輪に向けて、また新たな戦いの日々が始まる 【スポーツナビ】
伊東総監督 今回の団体戦は初採用で、他の国もそうですが選手の選択とかいろいろなところで迷われたと思います。われわれ日本チームはアイスダンス、ペアが薄く、なかなか他の国に比べて強化ができていないところがあったのですが、今回出たリード姉弟も高橋・木原組もショートプログラムではきちんとポイントを取ってくれました。
シングルの選手が活躍したことで、残りの5チームに入れてメダルのチャンスが訪れました。残念ながら届きはしませんでしたが、今後団体戦においてはISU(国際スケート連盟)としてもこれからどのようにするのかというのは初めてだったので、いろいろな問題が出ていると思いますので、話し合って解決すると思いますし、各国のNF(国内競技連盟)にも相談があると思います。
次のオリンピックをどのような形にするかは分かりませんけれど、少なくとも課題は見つかったと思っていますので、強化をして、平昌では団体でもメダルを取れるにようにしていきたいと思います。
――羽生選手、オリンピックという場でパトリック・チャン選手に勝ったことに特別な感慨はありますか? また平昌での2連覇をイメージしていますか?
羽生 特にパトリックと戦ったという感覚はありません。僕にとってオリンピックとは単なる試合という位置付けでもありましたし、実際メダルを掛けたときには違いましたが、実際に試合をやっているときには自分との闘いがフィギュアスケートの一番の大事なところだと思いましたので、しっかりと自分をコントロールする、しっかりと集中する、自分の演技をするということを心掛けていました。
平昌オリンピックについては、現役は続行したいと自分の中で思っていますが、2連覇とかそういうことはあまり考えずに日々精進していって、目の前の世界選手権でまず金を取れるように、オリンピックチャンピオンとしてふさわしい人間になれたらいいなと思います。
予算が増えるということは、責任が伴う
橋本団長 かねてから私自身の立場としては国会議員でもあるので、スポーツ議員連盟の1人として国庫補助について、各競技団体の3分の1負担はできる限りなくしてほしいという要望はしてまいりました。その中で今回のオリンピックが終わる直前に、文科大臣があのようなコメントを出して検討に入ってくれるということで、非常にありがたく思っています。
各競技団体によっては、自己財源を負担することができない中で、強化費を返上しなければいけないことが相次いで起きていました。それによってスポーツの全体的な底辺の拡大と強化をすることが非常に困難な状況になっていたということがあります。そのことによって特に、2020年オリンピック・パラリンピックが決定したということが大きな起爆剤となって3分の1補助、負担をなくそうという動きになってきたと思いますが、私たちスポーツ界はそれを追い風としてしっかりと強化に結びつけていく努力をしなければいけないと思っています。
来年にはいよいよスポーツ庁設置の話が現実味を帯びてくると思います。そうなってきますと、やはり国がスポーツにかける予算が増えてくる。そうなると私たちはそれによって、より結果を出さなければいけないという責任を持たされると思います。ガバナンスも含めて強化対策、あるいは教育につながる人間力の人材育成・強化、こういったものを全体的にスポーツというものの質を上げて、スポーツをいかにこの国の文化力にしていくかということに、努めていかなければという大きな課題を課せられることになると思います。単に予算が増えていくから良かったというわけではなくて、それには責任が伴うということをしっかりと自覚した上で、スポーツ界としての新たな改革に取り組んでいきたいと思っています。
<了>