ペップ・スタイルで勝利したバルセロナ。シティ沈黙し、難攻の要塞エティハド陥落
狙われたヤヤ・トゥーレ
元チームメイトのヤヤ・トゥーレを狙って“包囲網”を敷き、ショートカウンターで攻め立てた 【Getty Images】
象徴的だったのは後半10分〜11分にかけてのプレーだ。シティのヤヤ・トゥーレがバルサゴールに背を向けてボールを持ったところへ、シャビが前を向かせないように寄せていく。トゥーレが長いリーチを生かしてターンしようと試みるが、そこに前線のサンチェス、メッシが加わってコントロールミスを誘った。
そこからバルサは1分間にわたってシティのゴールに波状攻撃を仕掛けた。シティのDFが身体を張って跳ね返しても、すぐさまバルサの選手がプレッシャーをかけてマイボールにしてゴールに向かっていく。1点目で満足することなく、そこから畳み掛けたことが試合終盤の2点目につながった。
自分たちのスタイルを貫けなかったシティ
ペジェグリーニ監督は試合前、「われわれはスタイルを貫く」と語っていたが、実際には慎重な入り方を選択した。左サイドハーフにナスリではなく本来サイドバックのコラロフを起用したのも、シティの「スタイル」であるボール保持率を高めるサッカーよりも、ディフェンスからのカウンターに重きを置いていたことの表れだろう。だが、ディフェンシブな入り方をしたことがバルサのボール保持率を高め、シティにとって裏目に出たことは否めない。
何よりもアグエロの欠場は大きかった。バルサのセンターバック、とりわけピケはスピードに弱点を抱えている。ネグレドはポストプレーで攻撃の起点になっていたが、アグエロのようにカウンターで裏に飛び出せるスピードはない。前半18分にシルバのパスからネグレドがシュートを放ったシーンも、もしもアグエロだったらスピードで振り切ってゴールネットを揺らしていたかもしれない。
「世界最高のチームになるには、バルセロナのような強いチームを倒さなければならない」(ヤヤ・トゥーレ)
カンプノウでバルサを相手に2点差以上をつけて勝利するというハードルはかなり高い。だが、それを乗り越えない限り、シティが“世界最高のチーム”になることはできない。「われわれは諦めずにトライする」というペジェグリーニ監督の頭の中には、どんなプランが描かれているのか。
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