球宴で鮮烈な印象を残したデュラント“選ばれし男”レブロンの牙城を崩せるか

杉浦大介

注目された両雄の対決

オールスターゲームで38得点を挙げる活躍を見せたデュラント 【Getty Images】

「うーん、(1〜10どころか)25くらいかな……」

 2月14日、ニューオリンズで行われたNBAオールスターウィークエンド恒例の記者会見でのこと――。「レブロン・ジェームズ(マイアミ・ヒート)と比較されることにどれだけ飽き飽きしているか、1〜10の尺度で表すと?」という質問に対し、オクラホマシティ・サンダーのケビン・デュラントはそう答えたという。
「ほとんど毎日のように聞かれるからね。他の選手と比べるよりも、まずはレブロンがどれだけ素晴らしいかということがフォーカスされるべき。みんな何から何まで他のものと比べたがるんだから」

 しかし、デュラントの想いに反し、喧噪(けんそう)はしばらく終わりそうにない。
 一昨年まで3年連続得点王に輝き、“リーグ最高のスコアラー”の地位を確立してきたデュラントは、今季もまさに絶好調。前半戦では自己最高の平均得点(31.5)、フィールドゴール成功率(51%)、アシスト(5.5)、スティール(1.5)をマークし、サンダーをリーグ最高の成績(ウェスタンカンファレンス首位)に導いてきた。1月30日まで12試合連続30得点以上というスパンもあり、現時点で今季のMVP最有力候補と言われる。
“NBAの現役最高の選手”と言えば、去年までは“選ばれし男”と呼称されるレブロンの名を誰もが挙げるのが通常だった。過去5年間で4度のMVPを獲得した29歳のレブロンは、キャリアの絶頂にいる。だが、今シーズン、その牙城を脅かす存在として25歳のデュラントが特筆され始めたのである。

時代の移り変わりを感じさせたオールスター

 16日(日本時間17日)に開催されたオールスターゲームでも、最大の注目を浴びたのはもちろんレブロンとデュラントだった。
 長くリーグを支えてきたデビッド・スターンコミッショナーが1月限りで退陣し、ケガに苦しむ35歳のコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)は久々に“夢の球宴”を欠場するなど、さまざまな意味で時代の移り変わりを感じさせた今年のオールスターウィークエンド。ゲーム前にレブロンがイースタン・カンファレンスの最後に紹介され、一方でデュラントがウェスタン・カンファレンスの“大トリ”で名前を呼ばれたことは、現代のNBAを象徴するシーンと言えた。

「デュラントのことを聞かれるのは問題ないよ」と若きスターに関する質問をまずは余裕で受け止めているレブロン。しかし、今回の大舞台でも躍動した新ライバルを、もう見過ごせなくなっているのも事実だろう。
 オールスターでもデュラントは38得点を挙げ、球宴史上最多得点記録(42得点)の更新を最後まで期待させた。一方、レブロンは手に取った7本の3点シュートをすべて外し、22得点どまり。ゲームは163−155でイーストが勝ったが、“2大巨頭”の内でより鮮烈な印象を残したのはデュラントの方だった。
 今回の38点を加え、デュラントはオールスターの通算最多記録保持者であるコービー・ブライアントの280得点まであと127点に迫っている。デュラントの成長度を考えれば、5年後にはこの痩身(そうしん)のスナイパーがオールスター史上最高のスコアラーの座に到達しているかもしれない。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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