橋本聖子、大菅小百合ら、夏季&冬季五輪に出場したアスリート=プレーバック五輪 第11回

小川勝

夏冬合わせて7度五輪に出場した橋本聖子。今大会は団長として選手団を引っ張る(写真はアルベールビル五輪の時のもの) 【写真は共同】

 冬季五輪で、夏季五輪にも出場した日本人選手は過去に3人いる。いずれもスピードスケートの選手が自転車競技に出場したもので、橋本聖子、関ナツエ、大菅小百合の3人だ。2つの競技における成績は、ざっと以下の通り。

<橋本聖子>
 冬季五輪は1984年サラエボ五輪から94年リレハンメル五輪まで4大会出場。92年アルベールビル五輪では1500メートルで冬季五輪としては史上初となる女子の銅メダルを獲得。

 夏季五輪は88年ソウル五輪から96年アトランタ五輪まで3大会出場。92年バルセロナ五輪では3000メートル個人追い抜きで11位に入った。

<関ナツエ>
 88年のカルガリー冬季五輪(3000メートルで18位など)とソウル夏季五輪(ロードレースで50位)に出場。

<大菅小百合>
 冬季五輪は2002年ソルトレークシティ五輪、06年トリノ五輪に出場。トリノでは500メートルで8位入賞を果たす。

 夏季五輪は04年アテネ五輪に出場。500メートルタイムトライアルで10位の成績となった。

 夏季五輪の選手が冬季五輪に出場した例としては、陸上競技の男子100メートルで日本記録を出したことのある青戸慎司がいる。夏季五輪としては88年ソウル五輪と92年バルセロナ五輪の400メートルリレーに出場、バルセロナでは6位入賞に貢献している。冬季五輪は、その走力を生かして98年長野五輪のボブスレー4人乗りの代表に選ばれて出場。16位となっている。

 スピードスケートの選手は夏にトレーニングの一環としてよく自転車に乗るため、この2つの競技は自然に両立させることができる。だが、一年中、自転車の練習をしているわけではないにもかかわらず、大菅が04年に記録した500メートルタイムトライアルの日本記録(35秒045)は、昨年12月まで破られていなかった。これはやはり、日本におけるスピードスケート選手の身体能力の高さを証明していると言っていいと思われる。

 日本には夏冬両方の五輪でメダルを獲得した選手はまだいないが、海外には、両方で金メダルを取っている選手もいる。20年アントワープ五輪のボクシング・ライトヘビー級で金メダルを獲得したエディー・イーガン(米国)は、のちに32年レークプラシッド五輪のボブスレー4人乗りで、史上初の夏冬両方の金メダリストとなった。ボクシングで金メダルを取った当時、イーガンはイェール大学(米国)の学生で、五輪のあと、ハーバード大学(米国)の法科大学院に進んで弁護士になった。その後、友人に誘われてボブスレーの米国代表チームに参加、ボブスレーでも金メダルを獲得している。

 夏冬の両方で多くのメダルを獲得した選手といえば、女子スピードスケートと自転車競技の先駆者ともいうべき、クリスタ・ルディンク=ローテンブルガー(ドイツ)だ。スピードスケートでは84年サラエボ五輪から92年アルベールビル五輪まで、500メートルと1000メートルで金メダル2個、銀メダル1個、銅メダル1個を獲得。自転車競技では88年ソウル五輪の1000メートルマッチスプリントで銀メダルを獲得している。
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著者プロフィール

1959年、東京生まれ。青山学院大学理工学部卒。82年、スポーツニッポン新聞社に入社。アマ野球、プロ野球、北米4大スポーツ、長野五輪などを担当。01年5月に独立してスポーツライターに。著書に「幻の東京カッブス」(毎日新聞社)、「イチローは『天才』ではない」(角川書店)、「10秒の壁」(集英社)など。

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