クラブライセンス制度、3年目の現在地 Jリーグの魅力を高めるためにすべきこと
制度導入で掲げられた8項目
J2クラブライセンスの交付が決まり、フリップを掲げるツエーゲン金沢の西川圭史GM。J1資格とは基準が異なる部分がある 【写真は共同】
ドイツ・ブンデスリーガをお手本としたこの制度は、各クラブの財務・法務状況の健全化と、施設への投資を促すことを主たる目的としている。UEFA(欧州サッカー連盟)でも04年から欧州チャンピオンズリーグへの参加資格基準として採用されており、こうした基準をFIFA(国際サッカー連盟)が08年から、AFC(アジアサッカー連盟)も13年から採用したことで、Jリーグとしても対応を迫られることとなった。
Jリーグが同制度導入で掲げたのは下記の8項目。
1.サッカーに関するあらゆる基準の継続的な向上
2.若手選手のトレーニングとケアを最優先課題とする
3.クラブの管理体制と組織の強化
4.設備の整った安全なスタジアムの確保
5.クラブの財務能力・信頼性の向上 債権者の保護
6.シーズンにわたり大会を継続させる。
7.競技会における財務上のフェアプレーを監視する
8.各クラブに以下の基準を提供する
(競技・施設・組織運営及び人事体制・財務・法務)
1〜7が「目的」であるのに対し、「8」で掲げられたのはその目的達成のためにクラブが守るべき「5つの基準(ルール)」となる。「競技」はユースチームの保有など総じて育成への投資を義務付けたもの。「施設」はスタジアムと練習場についての基準を定めたもの。「組織運営及び人事体制」は資格を持った財務、セキュリティー、メディカル、マーケティングなどの担当者を置くことや資格を持つコーチの登用を求めるもの。「法務」はFIFA、AFCを含む大会規則・基準に従う宣誓を求め、また他クラブ経営への関与の限定や、クラブ内における適法な懲戒規則の制定とその提出を義務付けたもの。そして最後の一つ、「財務」は文字通りクラブの財務に関する規定である。
すべてのクラブを悩ませる「財務」
また、ライセンスは「J1」「J2」で基準が異なっている部分があり、「J2クラブとしての資格はあるが、J1クラブの資格はない」というケースも出てきた。それは「施設」の項目において顕著で、スタジアムの収容人員などが問題となって、「昇格資格のないままJ2リーグを戦うクラブ」の存在が常態化している。これまでは、この項目こそが各種報道や議論の焦点になることが多かった。
ただ「施設」については、極論すれば「基準に合ったスタジアムを建てれば(あるいは改修すれば)OK」という分かりやすい基準である。それゆえに難しいとも言えるが、クリアすべきラインは明確だった。それに比べて、すべてのクラブを悩ませている基準が「財務」の部分である。